レーザー加工による団地模型製作その1
団地模型を作り続けて、いつの間にか3種類の住棟模型が完成しました。これらの団地模型はスチレンボード製の手作りで、1棟製作するのにかなりの手間と時間がかかっています。特に、カッターナイフを使用したスチレンボードの手作業での切り抜き工程が全体の半分以上を占める重作業となっています。そこで、より簡単にカットを行える方法を用いてみます。現在ではOA技術の発達により、パソコンで作成したCADデータから自動でカットする装置が何種類か存在しています。そんなカット技術の中で、団地模型に使用する厚さ1mm程度の板を細い切りしろでカットできる手法としてレーザー加工を試してみたいと思います。レーザー加工は紙や木材、プラ板等をレーザー光で焦がして切断したり彫刻したりする加工法で、繊細な彫刻表現まで可能となります。そのカット幅は約0.2mmと細く、高精度な加工が期待できます。少なくとも今までのカッター切断より精度の高い模型が製作できるだけでなく、模型となる材料もカッターではスチレンボードや厚紙といったカットしやすい材質に限定されていたが、レーザー加工ではより硬く耐久性に富みカッターでは切断が難しかったアクリル板への加工が可能となり、模型製作の幅が広がります。また、プラスチックに対しては彫刻が可能となり、今までスチレンボードではできなかったタイル等の目地の表現が簡単にできることで模型表現の可能性が広がります。そんなレーザー加工ですが、レーザー加工機は高価でとても素人に手が出せる代物ではありません。そこで、専門業者にレーザー加工をお願いすることにしました。今回は、今まで製作した団地模型の中から公団型2DK住棟をレーザー加工外注で製作してみたいと思います。レーザーでカットされたパーツが届きました。かなりシャープな切り口で満足な仕上がりです。材料は1mm厚のアクリル板(アクリサンデー 押出し板)を使用し、CADソフトで描いた図面をDXF化して入稿しました。余白部分です。このような複雑な輪郭もきれいに正確に切ることができます。なお余白に残っている一番細い部分は1mm幅です。厚さ1mm以上のアクリル板をここまで正確に切ることができるのはレーザー加工機くらいでしょう。なお、レーザー加工は材料を選ぶらしく、プラスチックの中で塩化ビニール(塩ビ)は有毒ガスを発生する恐れがあるため加工不可のようです。また、熱に弱いプラスチックの切断では切り口が変形し精度が落ちるとのことです。このような理由から建築模型の世界ではプラスチック材料はアクリル板が良く使用されているようです。今回はここまで、つづきはまた今度。