久しい昔の話。定かではないが次男が小学高学年の頃、父親である私から叱られて、家出をするといって家を飛び出した。叱った理由は全く覚えていないが何か悪さをしたには違いない。それも夜も暗くなってからのこと。自転車に跳び乗った彼は佐賀に行くと言い残した。なぜ家出をする人がわざわざ佐賀と言い残したのは未だに判らないが、思うに少しは家に未練を残しながら、また本当に出て行けるのかという気持ちに駆られながらのことのように思う。夜遅くのことゆえ大変心配をしているところへ一時間も経っていただろうか、電話がなった。本人からの電話。「自転車がパンクした」とのこと、今何処にいるのかを問いただしてもわかっていない。仕方が無いから「そばにどんな店が見えるのか。」を聞いて想像で場所を確定するしかない。探し当てたのは夜半。公衆電話ボックスの中にうずくまってしょんぼりしている次男を見つけた。彼の安堵した様子を見て叱る気にもならない。所詮親子はこんなものである。自転車を車の後ろに積み込んで一路家路へ。とんでもない結末であった。本心は本当に家出をするつもりではなくつい勢いで飛び出したのが判ったがやれやれ何事も無くて一件落着。子育てをしていると色々なことが起こるものである。遠い昔話ではあるが時に思い出しては懐かしんでいる。
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