misty247

2012/06/20(水)00:07

LOVEまさお君が行く!

観た映画のこと(21)

試写会で『LOVEまさお君が行く!』を観てきた。  芸能界に疎い私でもさすがにSMAPぐらいは知っていて、彼ら5人の出演する映画もそれぞれに一本は観ている。パッと思い浮かぶ作品はといえば、木村拓哉は『武士の一分』、草なぎ剛は『僕と妻の1778の物語』、中居正広は『模倣犯』、稲垣吾郎は主役ではないけど『十三人の刺客』のイカれた殿様、香取慎吾は……ん、思い浮かばんなぁ。  そもそも私は、中居君と香取君の区別がついていない。一般人からしたら『んな、アホな』と思われるかもしれないが、家にTVがなく、雑誌も読まず、知ろうという気持ちもない者のなかには、そういう段階の人もいるのである。  TVを見ていた頃は、紅白歌合戦なんかつまらなくて見なかったが、TVを見なくなってから逆に、紅白歌合戦だけは見ようと思って見ている。お目当ては、平原綾香と石川さゆり、とかはさておき、そこではSMAPが司会で目立っているから、各メンバーの一面はある程度は知っている。  といっても、香取慎吾が見たくて、この映画を観に行ったのではない。じゃ、もしかして広末涼子?  「彼女はいつもこんな表情するのよねー」と聞かされて以来、私もその仕草ばかりが気になって仕方ない。口に出せない想いをすべてを、下唇の巻き入れで表現してしまう彼女の癖は、本作でも遺憾なく発揮されていた。  少し前、図書館の新刊書コーナーでふと手にした本『その癖、嫌われます』竹内一郎著(幻冬舎新書)によると、役者というのは、まず徹底的に自身の癖を無くしてしまうことからスタートするのだとか。それからすれば例外だ。逆にトレードマークになる癖もあると思うけど。  なにが一番見たかったか、あえてあげるなら「まさお」かな。ラブラドールの犬。犬と遊ぶ、というか遊ばれているシーンが観たくなった。実は私は、愛犬家なのである。  でも、私はコメディ系が苦手である。さらに動物が主役の映画も苦手である。つまり、本作の感想を述べるのに不適である。なにもマイナスの経済効果しか出せないやつが、感想を述べなくてもよかろう。しかし、どういうタイプの人間が、どういう理由で、こういう作品から遠ざかっているのかを述べることは、たとえこの作品が万人向けを狙っていないとしても、少しぐらいはマーケティング分析の参考情報にはなるかもしれない。  なにがやっぱりダメだったか、その1。  まさおが結婚式の場に飛び込んでぶち壊しにする。知らぬ間に新朗のズボンはズリ落ち、参列者は次々とプールに落ちて、ウェディングケーキもめちゃめちゃになる。ドタバタコメディの見せ場のひとつなんだろうけど、犬が会場を3周ほど走りまわっただけで、こんな事態になるという強引さについていけない。笑えない以前に『こんなん見てる場合やないな』と気持ちがもう他へ向く。  なにがやっぱりダメだったか、その2。  笑いあり涙あり。まさおの死は涙を誘う。しかし、ペットや子供の死で涙を誘うのは、もっとも安直な方法である。あまりにもストレートすぎる「まさおの死」の悲しまれ方。それでも泣かされてしまうから、もうひとひねりしてと言いたい。  どのシーンが悲しいと特定もできないまま観終わって涙とめどなく流れる。魂を揺さぶって泣かさせてくれる映画。そんな作品で泣きたい。  良かった点もあげておこう。  まだ、まさお(犬)に馴染めていない最初の頃の松本君。リールを取って連れ歩こうとするのだが、まさおはリールをまたいでしまって、上手くリールを引くこともできない。馴れない人がリールを持つとあのようになる。それが後半、すっかり慣れた松本君は、リールの中間をもち、たるみを自在に調整できるまでになっていた。  他は、はちゃめちゃだったが、このリールさばきだけは、ふたりの呼吸があっていく様をよく表現していた、ただのロープ一本だが、それを介して飼い主と犬は、見た目以上に多くの意思の疎通を図っているものだ。  あんな目立たない所が出来ていたこと、その一点で、まぁ満足できた。

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