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カテゴリ:洋楽
「わが心のジョージア」とか「愛されずにはいられない」
とかバラードの名曲が多くあるのがレイ・チャールズ だけど、私がその中で一番好きな曲は「That Lucky Old Sun」だ。 ’63年に米で20位までヒットした曲。当時のレイの 勢いからすれば決して大きなヒット曲ではないものの '61年からのカントリー路線に共通した、「ストリングス 厚め、コーラス隊の男女混合コーラス、隠し味のピアノ」 という曲の中では一番出来がいいと思う。 私がこの曲を始めて聴いたのが'88年ごろ。その頃は普通の バラードという感じで、そもそも「愛されずにいられない」 あたりのバラードはとにかく嫌いだったので、(ロック的 でないという理由だ。)あまり好きになれなかった。 しかしその後レイのカントリーソングを集めたCDを聴いて みたら何故か凄く感動してしまい。現在にいたるという 訳だ。もしかしてこの曲がなければ今でもあまりレイさん については興味が湧かなかったかもしれない。 とはいえ、現在かなりいい音でこの曲は様々なCDに収録 されているけど、そのためか「この曲のレイのボーカル はかなり大袈裟だ。」という事に気が付いた。 何と言うか、「ここまでしていいのか」という感じすら ある。感極まって泣きそうになるは、声は震えているは 高音部はかすれているは、当時のカントリー・バラード の中でもずば抜けてボーカルはラフな仕上がりとなって いる。 この曲は'49年に作られた曲らしい。歌詞からまるで ゴスペルみたいな印象を与えるけど、当時のポピュラー 曲の1つで、サラ・ヴォーンや、ルイ・アームストロング などが初期に吹き込んでいる。ちなみに歌詞を書いた Haven Gillespieは、「サンタが街にやってくる」の歌詞 を書いた事でも有名な人。 しかしヒットバージョンは'52年のフランキー・レイン のバージョンが有名らしい。この人は日本では「ロー ハイド」で有名な人だけど、40年代後半から活動して いた人で、カントリー歌手とも言えるし、ポピュラー 歌手ともいえる人。 で、少しフランキー・レインのバージョンを聴く機会 があったんだけど、これがレイさん以上に「大袈裟」 な凄いボーカル。これで私はレイさんはフランキー レインのバージョンを参考にしたのだと思ったのだった。 しかしこのレインの大袈裟なボーカルを聴いていて、 「もしかして、これはジョニー・レイの『Cry』と 同じ人がプロデュースしているのでは。」という 事に気がついた。両者ともにコロムビア所属だし 同じような大袈裟なボーカル。非常に似ているのだ。 で、AMGで少し調べたらその通りだった。この曲も ジョニー・レイの「Cry」も、同じミッチ・ミラー が関わっていた。 ジョニー・レイの「Cry」は日本でも知っている人が 多いかもしれない。シンプルすぎるバックとフォー ラッズのコーラスにジョニーの大袈裟すぎるボーカル という組み合わせで、’51年に米で大ヒットした曲だ。 まだドゥ・アップはない時代だけど、その萌芽の一曲 としても語られるし、ジョニー・レイのボーカルだけで はなく、ステージ・パフォーマンスの大袈裟ぶりでも 有名な曲だ。(ジョー・コッカーの歌っている風景を もっと大袈裟にしたものらしいけど、私は見たことが ないので詳しい事は知らない。) ただプロデュース担当のミッチ・ミラーという人は 大のロック嫌いでも知られた人。そのためか上品な 感じのアレンジの曲が多い。フランキー・レインも ジョニー・レイの成功によってフォロワー的な存在 だったのだろう。しかしレインが現在でも現役で 活動する歌手なのに、ジョニー・レイはエルヴィス 登場以前はアイドル的人気もかなりあった歌手なのに 以前のスタイルに固執して、ロックン・ロールの登場 により人気は急降下する。 そんな時代のヒット曲をレイさんが掘り起こしたわけだ。 現在では「That Lucky Old Sun」は完全なスタンダート ナンバーとなっているけど、こうなったのもレイさんの カバーがあってのことであることは明白だけど、殆どの カバー曲に独自のアレンジを凝らすレイさんにしては この曲のコンセプトは「大袈裟対決」だったという事 かな? なお「Cry」もレイさんはちゃんとカバーしている。 ('65年 米58位)これが思いっきりジャズ・ボーカル していて、さすが一筋縄ではいかない人だと関心する 出来。 という事を考えながらジェリー・ガルシア・バンドの 「That Lucky Old Sun」を聴いているのだった。(そう いえばボブ・ディランもこの曲コンサートでカバーした 事ある。ディランのバージョンなんていうのも聴いてみたい ものだ。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年06月29日 00時49分40秒
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