Hit The Road(レイさん追悼特集その3)
今回はまず私の恥ずかしい話から。私が大学生の頃、あるサークルに所属していたのだけどこのサークルでオリジナルのジャンパーを作ろうという事になって、そのジャンパーに何かいい言葉を刺繍しようという事になり、なぜか私がその言葉を考えろという事になってしまった。軽く考えて引き受けたのだけど、いざとなるとなかなかいい言葉が浮かばない。悩んでいた時に、ラジオからレイ・チャールズの「旅立てジャック」が流れてきた。そのサークルは旅行関係のサークルだったので、「丁度いいや」と思い、一応市販の英和辞典でも調べてみたら確かに「Hit The Road」というのは「旅立つ」とかいう意味がある。そういう訳で「Hit The Road」という言葉を刺繍する事にした。別にこの言葉に関してクレームもつかなかったけど決めた本人としては、何か少し違和感が実はあった。それは実際の「Hit The Road Jack」という曲の歌詞が、「旅立てジャック」だとどうも意味違うのではないかと思っていたのだ。そこで実際にはどうなのかというのは、ここを見て貰えばわかるのだけど、「旅立つ」というのはこの曲にとっては「誤訳」だったのでした。私がこれが誤訳だと知ったのは、大学卒業後まもなくだったのだけど、「『旅立つ』という意味も実際あるんだから誤訳にはあてはまらない。」などと結論付けいままでサークルの友人達に黙っていた。今回レイさんが亡くなったというのを期にちゃんと告白してみた。でも完全な間違いじゃないからどうでもいい事かもしれないけど。教えてGooでは文法的な事がよく書かれているけどこの曲はノベリティ的な所のある歌詞で、男女の夫婦喧嘩をそのまま歌詞にしたような曲だ。(コーラス部分が女性のセリフ)カバーも多い曲だけど、’76年に米でヒットしたStampedersのバージョンはDJの故ウルフマン・ジャックも登場する。この曲はノベリティ扱いだった。(オリジナルと歌詞はあまり変わらないけど、電話で会話する場面がある。しかしこのバンド何とまだ現役で、公式サイトが存在する。殆ど一発屋みたいなバンドなのにこれは驚き)またこの曲のアンサー・ソングも存在する。今年になってオリジナル盤やベスト盤が一挙に再発された去年亡くなったニーナ・シモンの曲に「Come On Back,Jack」という曲があって、これが曲はそのまま「Hit The Road,Jack」を使って、歌詞を新しく作った曲。(作詞者はモート・シューマンっていうのも驚き)このサイトで歌詞が確認できるけど、男性部分のセリフを極力少なくして、女性側に重きを置いている。成る程ニーナなら歌いそうな歌詞だ。ニーナ・シモンもジャンルに関係なく様々な曲を自身のフィールドで解釈したという点ではレイさんに近い人だと思う。しかし今回の再発はさすがに全てのCDは買えないだろうな。最低ベスト盤でも手に入れたい所だ。そんな曲だけど、作者のパーシー・メイフィールドの自作のバージョンは発表されていないのか収録CDがなかった。惜しい事だ。