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「うわ~冷たい。」 すると中からこんな声がした。 「君は何者かね。」 「儂かね、儂は決まって居るじゃろう。 こんなに緑で活き活きしとる、樅の木じゃよ。」 「ふ~ん。で、俺は。」 「何だい君は自分の事を知らないのかね。」 回りには金銀の星や、 動物のオーナメント、 サンタ人形。 坊やの玩具が一杯。 「君の名は蝋燭だよ。」 「ふ~ん。で何をしたら良いの。」 周りのもの達に。 「何にも知らないらしい。」 「はっはっはっはっは」 樅の木はとても可笑しそうに笑った。 「何もしなくて良いのさ。」 「ふ~ん。」 兵隊人形が云った。 「後で分かるよ。」 赤いクルミ割り人形が悲しそうに云いました。 「貴方はイヴの今夜、火を灯されるのよ。」 蛙の人形が云いました。 「すると、二時間位で燃え尽きるのさ。」 すると蝋燭は真っ白い顔をして、 透明な涙をすーっと一筋流しました。 「さっき箱から出たばかりなのに二時間位で燃え尽きるのだよ。」 むく犬の縫いぐるみが云いました。 すると蝋燭は益々青白い顔をして又、 すーっと涙を流しました。 其の時ばたんとドアが開き、 男の子と女の子が入って来ました。 「わ~い。クリスマスだ、イヴだ。」 楽しそうな音楽が流れます。 お母さんが、おいしそうな料理を並べます。 でも独り蝋燭だけは泣いています。 「では火を灯してちょうだい。」 蝋燭はお父さんの手で火が付けられ、 高い高い樅の木のてっぺんに灯されました。 「メリークリスマス。」 さっきまで泣いて居た蝋燭は部屋中を照らして、 輝いています。歌が流れ、 祈りの言葉があり、 一番大切な日が終わろうとしています。 外では、ごうと風が鳴り、 時々粉雪が舞い上がります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.02.17 22:16:12
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