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10月29日午後4時15分に発表した決算は市場にとってサプライズだった。事前の市場予想(アナリスト予想の平均値)では、4~9月期の営業利益は1800億円台だった。ある国内証券のアナリストは「売上高営業利益率が高すぎる。追加のリストラか投資の抑制をしたのではないか」と勘繰った。
事前の市場予想が控えめだったのには2つの理由がある。1つは国内の住宅需要の立ち上がりが鈍かったことだ。新規着工は戻りつつあるが、パナソニックの収益源であるリフォーム事業や住設関連については15年夏ごろまで経営環境が芳しくなかった。前年に好調だった太陽電池は電気の買い取り価格の引き下げなどで引き合いが急速に落ち込んでいる。 もう1つはエアコンだ。戦略地域とする中国市場の需要低迷が逆風となった。景気減速にもかかわらず現地の電機大手がエアコンを大量に生産し、その多くが在庫として残っていることが響く。パナソニックは高額の富裕層向け製品を販売しており、中国でのシェアは数%程度だが、苦戦は市場関係者にとって周知の事実だった。 住宅関連とエアコン。この2分野は、今期のパナソニックにとって非常に重要な位置づけにある。「稼ぐべき役目」を割り当てられた事業なのだ。 15年3月期の営業利益が3819億円となり、3500億円以上という中期計画の目標を前倒しで達成したパナソニックは、16年3月期を「成長フェーズの入り口」に設定した。今期は売上高で8兆円、営業利益4300億円を予想した。そして、高いハードルを越える原動力として、6つの事業部を選んだ。 エアコン、照明、住設、カーナビ関連、2次電池、パナホーム――。いずれも売上高が3000億円以上と大規模で、売上高営業利益率が5%未満と低い、言い換えれば伸びしろがある事業だ。「大規模6事業部」と名付けたこの分野で、売上高で1500億円、営業利益で390億円の積み増しを狙っていた。 照明、住設、パナホームという住宅関連事業と、エアコン事業。ここが良くないなら、収入面も収益面も厳しいだろうとみられていたが、ふたを開けると違った。飛行機の娯楽システム、監視カメラという法人向け事業が収益を下支えした。 12年6月に津賀社長が就任した時点のパナソニックの経営状況は厳しかった。12年3月期から2年連続で7500億円を超す大幅な最終赤字を計上した。パネルや半導体などへの投資が重く、手元資金から有利子負債を差し引いた「ネット資金」は約1兆円のマイナスとなった。 火中の栗を拾った津賀社長は「我々は負け組」「当社は普通の会社ではない」と述べた。投資の抑制と資産の圧縮など純現金収支重視の経営を徹底し、事業ポートフォリオの組み替えに本腰を入れた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
November 2, 2015 10:31:55 AM
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