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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*ぼくのとなり*


 君と僕はよく似てて

 気が付けばいつも

 僕の隣には君がいた。

 
 *僕の隣*


 「見て見て、数学のテスト89点!!」


 自慢げに君は
 
 平均点が45点と先生が嘆いてた数学の答案を

 僕に見せる。


 「悪いけど俺も・・・ほれ」


 でも悪いけど僕も

 数学だけは成績いいんだから。

 君と同じ点数の答案をちらつかせながら

 笑って見せた。



 「やるねぇ~」


 そう言って笑う君と

 手を繋ぐ。

 


 僕と君はいつだって一緒。

 
 


 「あ・・・雨・・・」


 ポツポツ降りだした雨。

 
 でも僕たちには

 傘なんて必要無くって


 「うわぁ~キモチイイ~」

 
 校庭に飛び出した。



 雨ってスキなんだ。

 真っ黒な雲から降り注ぐ

 まっ透明な雫。

 
 なんか良いじゃん。

 
 そんな雨に降られて帰るの。



 「雨ってスキだなぁ」

 
 そう言って笑う君に

 また恋をする。

 


 


 僕と君はよく似てて

 自然と僕の隣は

 君の特等席。

 自然と君の隣は

 僕の特等席になってた。



 僕と君はよく似てて

 一緒にいると楽しくて

 一緒にいると幸せなんだ。


 

 でも

 僕と君とはよく似過ぎてて

 噛み合った車輪が

 少しずれただけで

 ケンカになっちゃったりも

 して・・・



 「もういいっっ」


 
 君と僕との間には

 あっという間に

 大きな溝が出来ちゃった。





 いいんだ。

 なにも僕の隣には

 君しか無理ってわけじゃない。


 いいんだ。

 君じゃなくたって

 僕の隣に

 他の誰かがいたって

 僕はきっと幸せ。

 僕はきっと楽しいんだ。





 「ねぇ、待ってよ~」


 僕の隣が君じゃなくなって1年。

 僕の隣には君じゃない

 あたらしい彼女がいた。



 「あ・・・雨・・」

 
 下校途中

 急に降りだした雨に

 

 「うわっ最低~」


 彼女はあからさまに嫌な顔して

 近くのコンビニに駆け込んだ。


 「傘、買っていこうよ」



 彼女との違いを見つけた時

 いつも浮かぶのは君の顔。


 いつも浮かぶのは

 君との楽しい思い出で


 いつも考えるのは

 今、君は何してるのか。



 そんなとき

 
 目の前を歩いていたのは

 君と僕の知らない男の影。

 
 相合い傘なんかしちゃってさ。


 ねぇ、君は

 その人といて

 楽しい?

 幸せ?


 ねぇ・・君の隣は

 僕じゃなくてもいいの?




 「ごめん、やっぱ俺・・・あんたじゃダメだ・・」




 最悪な男になってもいい。

 
 嫌われたってかまわない。


 ただ君だけは

 失いたくないんだ。




 たとえ君が今

 僕じゃない男といるのが幸せでも


 僕は君じゃないとダメなんだ。


 ごめん。

 ごめん。

 ごめん。



 僕は

 僕はね



 「君じゃないと・・・ダメなんだ・・・」


 息が切れる程走って

 君の背中をつかまえた。



 かっこわりぃ。

 今の俺

 すっげぇかっこわりぃ。

 でも・・・


 「かっこ悪い」


 俯く僕の頭上から聞こえてきたのは

 そんな君の声で


 「すっごいかっこ悪い」


 顔をあげて

 僕の目に飛び込んできたのは

 そう言って涙を流して

 笑う君の顔だった。



 「でもスキ」


 君は僕を抱き締めて


 「私も・・・君じゃないとダメなんだから・・・」


 僕は君を抱き締めた。



 
 同じでいいじゃん。


 違ってもいいじゃん。


 そんなの含めて全部


 僕は君が必要で


 君は僕を必要としてくれる。


 いつまでもこうやって

 二人

 手ぇつないで

 一緒にいようよ。


 そしたら

 きっとずっと

 僕たちは幸せなんだ。




 「傘、買ってく?」


 「いいじゃん、濡れて帰ろ」


 
 きっと明日は

 二人して風邪ひくね。





 

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