2005/08/08(月)21:44
読めば元気がでる:海馬
『ぼくは、まわりの人があきれてしまうぐらいに、もの忘れをしてしまいます。
たとえば、ぼくが学生に「こういう実験をしてみたらどう?」と言ったはずなのに、一週間後にその実験をしている姿を見て「なんでそういう実験をやっているの?」と訊いたり(きいたり)する。挙句(あげく)の果てに「その実験はあまり意味がない」みたいなことさえも言ってしまう。もの忘れがひどいのは昔からなのです。』
ああ、このひとが会社の上司でなくてよかった、と思わせる文章ですが、これは1970年生まれのひとの発言。
薬学博士の発言と知れば、思わず「自分も捨てたもんでない」と思えるはず!
『「海馬 脳は疲れない」 池谷裕二・糸井重里著 新潮文庫』
脳について研究している池谷氏に糸井氏が話をきく対談です。
各章末にまとめがあって、とてもわかりやすく親切な仕上がりとなっています。
たとえば、一章のまとめの大枠(本では大枠にさらに短文で説明があります。とにかく親切。)を紹介すると
『1 「もの忘れがひどい」はカン違い
2 脳の本質は、ものとものとを結びつけること
3 ストッパーをはずすと成長できる
4 30歳を過ぎてから頭はよくなる
5 脳は疲れない』
といった感じです。
『糸井 脳細胞が死んでいく量もすごいんでしょ?
池谷 はい、1秒に一個ぐらい。今、ここでこうして座っていても、ぼくは、さきほどここに来た時よりも、明らかに脳細胞が少なくなっています。でも、生き残っている細胞のほうが明らかに多いんです。一生かかってもたくさん残る。だから気にしなくていいんです。それぐらい、脳はムダをしていますので。
糸井 なるほど。とにかく脳細胞ってのは、「増えたの減ったの騒がなくても、もともとたっぷりすぎるくらいにある!」と。』
など、脳の老化の心配を吹き飛ばす記述が満載です。
参考に各章のまとめは以下~
『二章
1 脳の成長は早い
2 脳は、わからないことがあるとウソをつく
3 マジックナンバー7
4 海馬は増やせる
5 旅は脳を鍛える
6 脳に逆らうことが、クリエイティブ
7 「これが、他人の悩みだったら・・」が、悩みを解決するコツ
三章
1 記憶力を増やす食べものは、あることはある
2 やりはじめないと、やる気は出ない
3 寝ることで記憶が整理される
4 酸化することは腐ること
5 失恋や失敗が人をかしこくする
6 生命の危機が脳をはたらかせる
四章
1 受け手がコミュニケーションを磨く
2 センスは学べる
3 やりすぎてしまった人が天才
4 予想以上に脳は使い尽くせる
5 問題はひとつずつ解こう
6 言ってしまったことが未来を決める
7 他人とつながっている中で出た仮説には、意味がある』
自分の脳はこんなにすごいものなのだ、と目からウロコの内容です。