ルスカの再来。
25年ほど前、学生だった私は、いとこの結婚祝いを探した。食器というのは平凡だけれども、少し個性的な焦げ茶のコーヒーカップが見つかった。和食器のようなシックでマットな色使い。少し厚みがあって大らかな表情。とても気に入り、働く様になったら、いつか自分のためにも欲しいと思っていた。それから10年以上が経ち、見かけなくなったその食器がアラビアのルスカというシリーズで、すでに廃盤であることがわかった。定番商品と勝手に思い込み、バカみたいにのんびりしすぎていたのだ。アンティークだったら入手可能のようだけれど。昨年、日本の作家さんの作品で、とても好きになったマグカップを手に入れた。焦げ茶で錆びた鉄のような色合い、末広がりのフォルム、持ち手もよく見ると末広がり。薄くて繊細な口当たり、静謐な佇まい。形状や厚みは共通しないけれども、静謐なのにどこか大らかな雰囲気がルスカに通ずる。コーヒーはもちろん似合うけど、ラムを落としたホットミルクもとても似合う、大好きな器。田中大喜さんの作品。