2012/04/19(木)18:07
『味と映画の歳時記』 著:池波正太郎
『味と映画の歳時記』 著:池波正太郎
正月には、幼い頃の御供えの橙のしぼり汁に、
たっぷりと砂糖を加えた味を思い出し。
8月には、もぎたてのトマトと氷水のおいしさをたたえる。
5月には、ジャン・ルノワール監督〔ピクニック〕の野草の香りを想い、
11月には〔第3の男〕の落葉のラスト・シーンを語る。
半生を彩り育んだ“味と映画”の思い出にのせながら、
現代に忘れられた四季折々の風趣と楽しみを存分に綴る。
その月によって思い起こされる味、そして映画。
子供の頃の思い出の味、大人になってから味わった高級食材。
今はいつの季節でも何でも口に入るけれど、その季節に摂れた、
その季節ならではのものを食べる。
それこそが一番の贅沢。
その季節の食べ物を待ち望むことによって、季節の変わり目を感じ、
新しい季節を待ちわびる。
なんて豊かな時代。
そして食べ物だけではなく、映画にも季節を感じる映画があり。
映画の中のワンシーンから、その季節の匂いや色彩が感じられる。
それが白黒映画であっても、季節の色が感じられるのは、
なぜだろう。
小学校を卒業してすぐ株の仲買人として働き、
粋な大人たちに混じって働いていた著者ならではの、
季節や味覚の楽しみ方。
大人になってからしか経験できないこと、ということの線引きと、
子供だからダメ!と、頭から否定されることのなかった時代。
今の子供ではとても経験できないような子供時代を送れた時代が、
とても羨ましい。
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【参考】
◆池波正太郎の著書は→
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