|
カテゴリ:批評
4人の役者と1人のピアニストで演じられるハムレット。
過去、この集団の作品を観てきた者としては「正統」なツクリは意外。もっとザックザクに編集されるものかと思っていた。かわるがわるハムレットが演じられることを除いてはまっすぐな印象。とびとびにイメージが喚起される構成というよりは物語としてすすんでいく。ピースとして膨らみ、あわさり完成する世界、というよりは淡々とすすむ演出は評価のわかれるところだろう。ちなみに私は「非」だ。 女性がハムレットを演じるのはよくあるが、今回の企画ではじめて面白いと感じた。男性俳優が他にいることで自然に比較されて「不可侵領域をつくろうとするハムレット」が浮き彫りになる。 気になったのは劇場空間。表現の中心になるささやきとピアノのダイナミックさを考えると外の音がもれなく聞こえてくるこの場所はどうなのか。台詞を音楽的なツールとしてとらえた場合あまりあっているとは思えない。 さらに(ハムレットを除けば)もっと衣装、美術に記号性が強いほうがよかったのではないか。より舞台に近い客席の配置。ハムレットの存在そのものを複数の役者が演じる意図。ちりばめられた小道具の数々。それらを考えれば、かりそめっぽいツクリのほうがよりメッセージ性が強まったと思う(役者一座の場面のように)。ここでも空間の問題がでてくる。床と壁の雰囲気と溶け込むクラシックなvisualはどうなのか。 台詞も音楽もない瞬間が退屈である。場の分断を狙ったものか初日独特のものか?半端な印象が拭えない。「間」になっていない。ときには舞台上で役の受け渡しがあってもよかったのでは(ほんとは全部それでやってもいいとさえ私は思っている)。複数のパーソナリティを考えれば一度に2人のハムレットが重なる場面があってもいいだろう。 今後、意地の悪い見方になるが肉体に注目していきたい。現状では「老い」からくるものか、フィットネスが重いと言わざるを得ない。それは売りではなかったのか?パワーは落ちても技術は伸びるはずだ。それともテキストに負けたのか。 「誠意」というコトバがこんなにちりばめられているとは思わなかった。原作をあわてて読み返している。日本語訳だけど。前回の公演 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年10月07日 16時17分44秒
[批評] カテゴリの最新記事
|