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カテゴリ:批評
舞台は昭和。六大学野球の選手が古豪の水産会社の野球部に入部。しかし誘ってくれたひとは亡くなり、チームは弱小になりさがり解散の危機に・・・というところからはじまる傷と再生の物語。
惜しい。 それぞれに抱える事情が野球を通じて変わっていく、という王道の物語は野球への細かい技術論もちりばめられてぐいぐい読ませる。充実したキャラクターたちもいい。爽やかな気持ちになるのはいいのだが。 不満をいうなら、ハンパな時代描写である。 昭和である必然が行間からは伝わってこないのだ。昭和でなくとも、これだけ実業団が廃部に追い込まれている現代に替えてもまったく違和感がない。おそらくそれを狙っているのだろうが、だったら最初から現代にしろよといいたくなる。 昭和生まれが書けば昭和の物語になる、というわけではないのが小説の難しいところだろう。 とにかくもったいない気がするのだ。野球がつなぐ世界。けっしてハッピーなだけではないラストといい、中身がつまっているだけに惜しい。 それからもうひとつ。不景気のせいか「解説」がない。この手の話の場合あってもいいと思うのだが。マッシー村上の話とか、知らない人も多いんじゃないかしらん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年05月21日 01時45分31秒
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