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カテゴリ:批評
10代が主人公のモノを連続して読んでいる。
そのころに戻りたいとは少しも思わない。何も知らなくて恥ずかしくて情けなくて弱い時代にだれが戻りたいだろうか。 何にも知らなくて恥ずかしくて情けなくて弱いのはいまでも変わらないかもしれないが。 以前テレビで使い捨てカメラがブームのときに(何年前だよ)顔黒のねーちゃんが「思い出づくり」と称してなんでもかんでも撮りまくっていたのをみたが。 よかったオレの時代にあんなもんなくて。いまごろゴミ写真が溢れることになっただろう。 ほんと高校生時代の写真少ないんだよなー。 さて本作。とある高校生の自由な感性と生活を描いている。 父不在。母は恋に生きているという「自由」の中で生きる主人公。年上の恋人がいて、部活をやっていて、相談できる先生もいる。 こういう生活をみずみずしいとかのびやかとかいうのだろうか。 男子校暮らしをしたものなら性的な部分で充実しているというだけで腹がたってくるだろう。主人公が「同情」するわからずやの学校の先生のほうの方をもつことになるだろう。山田詠美が食わず嫌いで遠ざけていたのはそのへんにある。 ええたかが小説ですが。嫉妬していますがなにか? というリアルかつアホな感情はともかく。 心理描写が緻密。かつ「性」「女」「死」「家族」「経済」とたくみにちりばめられた要素が、作品を古びさせない。風俗描写を極力排除しているせいもあるだろう。 大人にとっての傑作。くやしいけど。(♂) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年08月01日 11時23分52秒
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