太陽電池の現状動向について
現在の主流は、シリコン型特に単結晶シリコン型ということになっているが、さまざまな方面で別のタイプの太陽電池が研究開発されているのでビジネス的観点を含めて比較してみる。まずは現在主流の単結晶シリコン型であるが、メーカーとしてはQセルズ、シャープ、サンテック、京セラなど多数。変換効率は20~40%程度と最も高く、生産量も世界中で300~400万Kw(3~4Gw)分程度生産されている。(現在生産能力が世界中で(特に中国)ドンドン増えている)原料となるポリシリコンが2007まで供給が逼迫していたが、ポリシリコンメーカが太陽電池向けの需要を認めて増産体制に入ったため、そのボトルネックは解消されつつある。発電効率は20~40%程度のものまであり。対抗馬として次に、薄膜シリコン型。これは単結晶、多結晶シリコン型ではシリコンインゴットをスライスしたウエハーから成るのに対し、ガラス板その他の素材にシリコンを吹き付けて製造する。シャープがすでに生産開始しているが、従来の結晶ウエハータイプのものに対しシリコンの使用量が1/100で済む。これの生産量(シャープ)は昨年は年産1.5万Kwと弱小であったが、奈良県葛城工場にラインを新設しこの4月から年産20万Kw程度になってる見通し。来年稼動予定の堺工場が稼動すると年産100万kw体勢に持っていく予定だそうだ。発電効率は現在のところ10~12%程度。このタイプ、三洋電機も薄膜シリコンと結晶シリコンのハイブリット型ということでHIT型といわれるものを製造している。生産量は16.5万Kwとまだ規模は小さい。発電効率は22%と高い。さらに非シリコン系といわれるものも続々開発されている。代表的なのは、CIGS薄膜型というもので、化合物系といわれる。荒っぽくいうと銅にセレンを吹き付けて作る。製造法や材料のバリエーションが豊富で、低コスト品から高性能品まで対応できるのが特長。また多結晶であるため、大面積化や量産化に向く。フレキシブルなものやカスタマイズ品も作りやすい。シリコン太陽電池が苦手とする分野から実用化が始まっている。ホンダが生産に乗り出しているが今のところ、熊本新工場の生産量は年産2.75万Kwと規模はまだ小さい。発電効率は現在10%程度。あと、有機薄膜型・色素増感型というものがあり、新日本石油などがかんでいるようだが、まだ実用・大量生産段階にはいっていない(と思われる。)特徴は、製造が簡単で材料も安価なことから大幅な低コスト化が見込まれ、最終的には現在主流のシリコン太陽電池の1~数割程度のコストで製造できると言われている。発電効率は10%程度。●所感・いろいろ有望な新型の太陽電池が開発されつつあるわけですが、当面は用途に応じて使い分けされていくだろう(軽いとか、安いとか、曲げることができるとかの特性)と思われます。・しかしやはり現在の主流は圧倒的に結晶シリコンタイプがブッチギリの生産量であり、(他はシャープの薄膜シリコンくらいで、新タイプはほとんどまだ全体からいうとほんとにビジネスとしては小さい)製造業というのは、いきなり生産量が増えるわけではなくて、そのためには必要な製造装置の製造や原料、原料を安定供給してくれるサプライヤーの確保も必要なため、ここ1~2年の間、結晶シリコン型太陽電池のビジネス優位は揺るがないと見ます。(住宅、ビル向け)・FIT制度の世界的広がりの中、足元需要は旺盛なので、このビジネスチャンスに普及体勢が整っている結晶シリコン型がもっとも当面は有望なのではないかと考えてます。