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今夜も空の下~世界放浪浪漫譚~

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えの1970

えの1970

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2005.11.04
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カテゴリ:日本にて
1999年6月26日

切ない思いで揺れている。
感情がむき出しになっている。

「また帰ってきて」とアルバムをくれた職場の仲間達

仕事を辞めて危険な山に行くというのに何も言わずに「気をつけて行って来なさい」と行ってくれた親

頑張っていけと励ましてくれた友

気軽な旅を志してきたのに、心に背負うものが大きくなりすぎて、出発の前日にしてあふれるような感情につぶれそうだ。

今日は旅の準備の最終チェック。
そして名残を惜しむかのように、友人知人と連絡をとりあう。

統合失調症で音沙汰のなかった友人からメールがきた。
「ひさしぶりにあわないか?」と書いてあった。
「すまん。明日からいつ帰るかわからん旅に出る。とりあえずペルーから連絡する」と返信する

女友達からは、最近失恋して落ち込んでいるのというメールがきていた。
「頑張れ!」と励ます。

また別の、古い山仲間の女友達から電話が来た。
「明日、成田まで見送り行くよ。」
「おー。ありがとう。」
「そうそう例の喧嘩してた女のひととはどうなったの?仲直りしたの?」
「うん無事に。これで思い残すことなくアンデスに散れるかもな」
「何言ってんの!もし何かあったらあたし一生あなたとは口きかないからね!山で死ぬなんて最低なんだから!」
彼女は看護婦だ。だからなのか命を軽んじる言葉は冗談でも許せないのだろう。でもそんな彼女の言葉がちょっぴり嬉しかった。
「おまえももうすぐだっけ。青年協力隊の合宿。お互いに頑張ろうな」
彼女は年末から協力隊員としてラオスに派遣されることが決まっていた。だから彼女と日本ではもう当分会えないような気がしていたから、明日成田まで見送りに来てくれることは思いがけず嬉しいことではあった。

今、自分の事を応援してくれる人がいる。自分のことを大切に大切に想ってくれる人がいる。
それだけで、旅は「帰るあてのない旅」から「帰りたい旅」へといつしか変節していく。
はそれだけで十分かもしれないな。

今日は出発前夜、日本での最後の日である。
夕方から最後にせめて一緒に過ごしたいと2日前に会ったばかりの彼女を誘って一緒に食事をした。
梅雨時でじめじめした時間ではあったが、別れ際に都心ではめったにめることのできない「虹」が雨上がりの空にきれにかかていた。
「きれいだね。旅立ちの前日にこんなきれいな虹がみられるなんてラッキーだね」
そう彼女が言った。





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Last updated  2005.11.04 01:30:54
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