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今夜も空の下~世界放浪浪漫譚~

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えの1970

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2006.02.10
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1999年9月24日(金)

寒さもなく湿気もなく柔らかいベッドの上で毛布にくるまって大の字になって眠るなんて何日ぶりのことだろう?
やっとヨーロッパから脱出して次の道が開けた安堵感もあってベッドの上で眠りをむさぼった。
朝7時に起床して、気がつけばドミトリーの1室にはベッドというベッドが人で埋まって満員御礼。昨夜9時頃に眠りにつく頃には例のすけべなおっさんしかいなかったのだが、人の出入りに気がつかないほど熟睡していたようだ。
しかしこの時間になっても誰も起きてこないし、皆当夜遊びしてたのか?
確かにパリに来て夜9時に眠ってしまう僕の方が珍しいのかもしれなかった。

コーヒーとパンの簡単な朝食をとった後、シャルルドゴール空港に向かう。
街からほぼ1時間程度でアクセスは良いし、日本の成田空港ももうすこしアクセスの便を考えて欲しい。
やっぱりここも日本人が多いロビーにて搭乗を待つ間、ゴミ箱に落ちている日経新聞を拾って読んだ。
為替レートが1ドル105円の円高にぶれているようで、海外旅行には幸いんなんだろうけどあいにくと3ヶ月前に1ドル125円で買った米ドルばかり持っていたので残念・・・
新聞にはIT革命が日本を救う!とかソリューションビジネスがどうのこうのとかよくわかなんことが書かれていたが、まったく遠い国のニュースのようにしか感じない。実際に遠い国なんだけどね。

日本をたってそろそろ3ヶ月か。情報が入ってこないということで取り残されたような気持ちになった。

パリ発フランクフルト行きのフライトは40分遅れて出発。1時間でフランクフルトへ。ここで最終のEU圏出国手続きをして、15:05発のタイ航空バンコク行きに乗り込んだ。

乗り込めばそこはすっかりアジアの空気で懐かしい。
インドというでかい壁を乗り越えてバンコクに向かえばもう気分はすっかり旅の終末ムード。タイと日本の時差はたった2時間だから別に遠い空でもないし、何よりもここからはかつて知ったる土地ばかり。
昨日までの不安から一転楽観お気楽気分ではあるが、反面それが寂しくもある。

飛行機が飛び立つとヨーロッパの大地が次第に遠くなっていく。
眼下にアルプスは見えないか、見えたら敬礼でもしたかったが機体はすぐに雲に突入してしまった。

思えばヨーロッパ滞在はかっきり1ヶ月。
振りかえってみれば金ばかり出て、思うほど山にも登れず怠惰な日々となってしまったがそれももはや楽しい思い出だ。
倦怠感につつまされたとはいえアルプスがいやだったわけではない。
アルプスに未練がないわけではない。
思い描けば登りたい山はたくさん脳裏に浮かんでくる。
その山のことを思うだけでドキドキするような山はまだまだ沢山ある。
ただ、生半可な気持ちでぶらりと来て登れるほどアルプスの山々は甘くない。
それがわかったからこそ、また来るときの糧となる。

だから来年もまた来よう。
そう思う自分がいた。

今度こそ、グランドジョラスの北壁ソロを目指して、1年間修練を積んで来るんだ。
アイガーにも絶対に登りたい。
余裕があればマッターホルンやドリューにも登りたい。

そしてこれからのことがいっぱい頭をめぐってくる。
次の世界がたくさん目の前に思い浮かんでくる。
ヒマラヤに登ってから日本に帰って、さあそこから次はどこに行こうか?

アフリカの山に行きたい
ニュージーランドの山にも行きたい
ニューギニアの山も行きたい
パタゴニアにも行きたい
東南アジアで沢登り三昧の旅がしたい。

行きたい国はいっぱいある
やりたいこともいっぱいある
金はあんまりないけれど時間だけはいっぱいある
そしてあふれるほどの情熱だけはたくさんある

そんな気持ちを心に抱きながらさあ次の世界へ!





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Last updated  2006.02.10 23:28:56
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