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2007.01.16
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カテゴリ:お仕事
さて、あなたは前線基地の、ある部隊の指揮官です。
これから、前方の敵に対して攻撃を開始します。そして陣地を構築して防衛ラインを作り、そこを死守するように命令されました。


初回攻撃時は後方部隊からの援護砲撃や、精鋭部隊の増員派遣がされ、前線は進み陣地も広く構築されました。そして初回攻撃の終了とともに通常部隊の構成となりました。
実戦指揮は初めての下士官、短い訓練期間で前線に投入された初年兵、長時間作戦の訓練を受けていない予備役の兵士。一応、担当兵器の扱いの訓練は受けていますが、訓練というよりはレクチャーを受けただけです。マニュアルどおりの操作と作戦の遂行は、なんとかできますが、突発事態に対応できるだけの経験も能力も未知数です。




と、まあこんな感じで作戦を指揮するように言われたら「やってられるか」ってな気分になりますよね。

兵器の取り扱いが抜群にうまければ、戦闘指揮ができるのか?と言われたら、それは違うでしょう。
知らずにはできないとは思うけど。

機関銃で攻撃が出来る状態になるには、どれくらいの時間がかかるかわかってなかったら、作戦を立てる時に危なくってしょうがない。
また、自分の能力と技術だけを基準にして作戦を立てたら、レベルの低い兵士がそこにいたら、それだけで作戦はくずれます。
30分で済ませる予定が1時間以上かかった、ってのは戦場なら命に関わりますね。
その兵士が云々ではなく、その兵士の技術力を見誤った指揮官の作戦ミスです。
「なぜそれくらいの事ができないんだ?」ではなくて「それくらいの事ができない」という前提で作戦は立てなければならない。

「がんばったらできる」というのはできるうちには入らない。
サーカスの綱渡りは、演じてる方は「がんばったらできる!」なんて考えてないはずです。



さて、何が言いたいか。




非正規社員を中心とした職場、というのはこういう事です。
熟練した指揮官や古参兵がいなくなる、ということです。


机の上で、人員を配置しても実際のフィールドでどう動けるのか。
士官学校を出たばかりの下士官が初年兵を連れて前線に出るのです。あるいは「戦闘経験」はあるけれど、基礎的な作戦行動しかした事のない兵士を使って、あらゆる作戦行動を行わなければならない。


今、「できる」という前提で作戦を立てるのは無謀な職場ってのは多いはずです。
しかし、昨日も書きましたが、人は保身のためなら会社の命運などどうだっていいのです。「やれ!」って言えば、自分の立場が安泰なら会社の事はどうだっていいんです。
できないのは、自分の立てた作戦ではなくて、遂行できない部下が悪い事にしてしまえばいい。


部下としては、それでこっちの立場が悪くなるなら、それこそ会社の命運などは知った事ではありません。


私は前の会社にいた時、あまりの待遇のひどさと社内システムのお粗末さにあきれ、特に何もしない事に決めました。
家電販売店でしたけどね。「売らなければトラブルは起こらない」という事です。

指揮官と兵士が「やってられねえ」と思ったら、その前線は穴だらけになります。
「やってられねえ」とは思っても、やめる事はなく「やってるふり」をするようになります。


いわゆるモチベーション。

これを維持するのは大変な事なのです。





経営のモチベーションと、現場のモチベーションは違います。

「国際競争力」?
そんなもの、個人の「毎日の生活力」の前では、何の意味ももちません。
国際競争力をつけるよりも、毎日の生活力をつけない限り、国際競争に勝とうなんて意識はできるわけがないのです。



兵隊を育てないツケは、前線を破られた時に気が付くしかないのでしょう。


「自前の軍隊を持たない国家は、自分の国を守れない」
私の大好きなマキアベリの言葉のひとつです。


愛国心は、傭兵には求めるべくもない。


派遣社員の方にそんなものを要求したら、そっちの方が間抜けだよね(笑)









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最終更新日  2007.01.17 02:19:34
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