もりっぺ★のほほ～ん　　　

■原題　CHILDREN OF MEN
■監督・脚本　アルフォンソ・キュアロン
■音楽　ジョン・タヴナー
■出演　クライヴ・オーウェン/ジュリアン・ムーア/マイケル・ケイン
■ストーリー
　西暦2027年、人類は18年間も子供が誕生していなかった。原因は分からず、人類滅亡の時が刻一刻と迫り、希望を失った世界には暴力と無秩序が拡まっていた。こうした中、英国政府は国境を封鎖し不法入国者の徹底した取締りで辛うじて治安を維持していた。そんなある日、エネルギー省の官僚セオ（クライヴ・オーウェン）は、彼の元妻ジュリアン（ジュリアン・ムーア）率いる反政府組織“FISH”に拉致され、彼女からある移民の少女を“ヒューマン・プロジェクト”という組織に引き渡すために必要な“通行証”を手に入れるよう依頼される…。



　英国を代表する女流ミステリ作家Ｐ・Ｄ・ジェイムズ原作。
　ヴェネチア国際映画祭で、オゼッラ賞（技術貢献賞）を獲得。

　近未来ＳＦ映画だし、「ハリポタ」の監督ということで
　ＣＧバリバリの娯楽作品なのかと思ってみたら、、、大打撃。
　久々に、本当の恐怖を感じた作品でした。

　最初の数分で、体中に奇妙な負荷がかかって、それがずっと最後まで続いたわ。
　映像は暗く生々しく、近未来と言っても20年後なので、あまり変わったところがなく
　内容が少子化や移民など、現代の問題が伏線となって描かれているようで
　リアルすぎて、苦しくて、哀しくて。
　だけど、目をつぶって見過ごしたいのに、目を背けることが出来なかった。

　劇中、数分間のノーカットを多用した演出が、臨場感がありすぎです。　
　特に終盤の戦闘シーンは、８分間の長回しにより
　あたかも自分がそこで、その場で、銃弾をかいくぐってる錯覚を起こし
　今、この瞬間でも、どこかの国で、現実に行われている惨劇を思わせる。
　　　あぁ、カメラに血が飛び散ってますよ。。。


　クライヴ・オーウェンは、特に好きな俳優ではないけど
　恐怖でおののく顔や、大切なものを失った悲しみの表情は、とても印象に残る。
　ふとした仕草が、ちょっと役所広司さんに似ていて、結構グッときたわ。
　それに、やたらと犬や猫に好かれてて、ワン・ニャンと纏わりつかれてる姿は
　なんだか可愛かったです。（ウフフ）

　大好きな女優さんの一人、ジュリアン・ムーアは、今回は出番少な目。
　でも、信念を持ち真っ直ぐに見る瞳の強さ、美しいわ。
　役名も同じ“ジュリアン”で、ちょっと本人とシンクロしちゃって、切なさも増すわ

　そして、マイケル・ケイン。
　劇中では全然気がつかなかったの。だって、おひげ。。。
　エンドロールで知って、事前に情報を得ておかなかったことを、ちょっと後悔。
　ま、とても素敵だったことに、変わりはないのだけど。
　そして、できることなら、私が指を引っぱりたかったですわ。（泣）

　なぜ子供が出来なくなったのかなどの背景を、くどくど説明してないとこや
　静かに訪れるラストの重さも、この作品においては好みでした。

　悲劇の前には一時の安らぎがあり、その一瞬があるから悲しみが大きい。
　赤ん坊を見守る目は、どんな人でも温かく優しいのに。
　エンドロール後の一言のメッセージ、全ての人の心に届いて欲しい。


　余談ですが、ちょっと気持ちを入れすぎたせいで、帰りの電車の中
　誰もが不審者に思え、何か起こるんじゃないかと、怖くて怖くて。。。
　乗り換えた電車で、相方の友達に偶然遭遇。彼の元気な顔に安堵。
　人ってやっぱりいいなって、あらためて思いなおさせてもらいましたわ。
　コバケン、感謝！


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