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テーマ:お勧めの本(7221)
カテゴリ:本
さあ行こう、デリーからロンドンまで。行けるところまで行ってみよう。
一度読んだきりで忘れかけていた本を探し出した。 ちょっと思い出してみようとページをめくる。 ほんの20ページくらい読めば満足するはずだった。 でも、気付いた時にはどっぷりと日が暮れ、いつしか暑さも忘れていた。 『深夜特急 1 -香港・マカオ-』 沢木耕太郎 新潮社 一日を何ものにも邪魔されず自由気ままに過ごしている今、 それは無計画な一人旅にも似ている気がした。 ゴールだけは設定してあるものの、その過程は全く決めていない。 全てが気分の赴くまま。自由なのだ。 かつて、ユーラシアをそんな具合で旅した男がいた。 沢木耕太郎。26歳。 インドのデリーから乗り合いバスでロンドンまで。 敢えて乗り合いバスを選んだ旅だった。 人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、 真実をきわめることもなく、記録を作るためのものでもなく、 血湧き肉踊る冒険大活劇でもなく、まるで何の意味もなく、 誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくては しそうにないことを、やりたかったのだ。 1巻はデリー前哨戦の香港とマカオの話。 読み始めるとやはり面白い。 途中でやめようと思ってもむつかしい。 ここで面白いことが起こった。 香港まで一気に読み終え、次はマカオへ旅立とうと ページをめくろうとしたところ、 計ったかのようにケータイが鳴った。 昔、同じ職場で戦った仲間からだった。 少しの話をし、電話を切った。 深夜特急の車窓から、街の灯りが見えたような気がした。 さあ行こう。行けるところまで行ってみよう。 やはりいい本だな、と思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.08.18 21:53:58
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