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2010.08.18
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テーマ:お勧めの本(7221)
カテゴリ:
さあ行こう、デリーからロンドンまで。行けるところまで行ってみよう。


             深夜特急.JPG


一度読んだきりで忘れかけていた本を探し出した。

ちょっと思い出してみようとページをめくる。

ほんの20ページくらい読めば満足するはずだった。

でも、気付いた時にはどっぷりと日が暮れ、いつしか暑さも忘れていた。


   『深夜特急 1 -香港・マカオ-』 沢木耕太郎 新潮社

   



一日を何ものにも邪魔されず自由気ままに過ごしている今、

それは無計画な一人旅にも似ている気がした。

ゴールだけは設定してあるものの、その過程は全く決めていない。

全てが気分の赴くまま。自由なのだ。


かつて、ユーラシアをそんな具合で旅した男がいた。

沢木耕太郎。26歳。

インドのデリーから乗り合いバスでロンドンまで。

敢えて乗り合いバスを選んだ旅だった。


   人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、

   真実をきわめることもなく、記録を作るためのものでもなく、

   血湧き肉踊る冒険大活劇でもなく、まるで何の意味もなく、

   誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくては

   しそうにないことを、やりたかったのだ。




1巻はデリー前哨戦の香港とマカオの話。

読み始めるとやはり面白い。

途中でやめようと思ってもむつかしい。



ここで面白いことが起こった。

香港まで一気に読み終え、次はマカオへ旅立とうと

ページをめくろうとしたところ、

計ったかのようにケータイが鳴った。

昔、同じ職場で戦った仲間からだった。

少しの話をし、電話を切った。

深夜特急の車窓から、街の灯りが見えたような気がした。



さあ行こう。行けるところまで行ってみよう。

やはりいい本だな、と思った。







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Last updated  2010.08.18 21:53:58
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