腕がない者にとって電動工具は福音だ。電動の丸ノコならまっすぐ、直角に板が切れるし、ボール盤なら板に垂直にまっすぐの穴があけられる。あられ組だって溝掘りだってトリマーを使えば正確にできる。でも、電動工具はうるさいし怖い。また、毎回掃除が大変だ。もし電動でないハンドツールで正確にできる技があるのなら、部分的にでも導入したいと思う。そんな時に出会ったこの本は、かなりすごいと思う。著者は、最初は電動工具を主体に工作をしていたが、騒音問題で工作ができない人のために、ハンドツールで正確に工作する手段を考えたらしい。
手で扱うのこぎりをメインに使うが、マグネットシートを張ったジグを多用することでまっすぐ直角に切る。通常ののこぎりの刃には「アサリ」といって左右に刃が飛び出ている構造がある。これだとマグネットシートに当たって不正確になる。そこで、著者は替刃式ののこぎりを作っているメーカーに掛け合ってアサリの無い替刃を作ってもらい売っている。
この本に従ってジグを作り、試しに額縁を作ってみたが、なるほど正しく切れる。うまくいかない場所もあったが、それはジグが正しくできてなかったせいだ。スキルは主にジグを正確に作る工程で発揮されるので、だめな場合は作り直した。ジグは電動工具をフル活用して作ったが、手ノコで切ればかなり静かだ。