はかせのブログ

2022/06/20(月)11:11

海馬を鍛える

解剖学(254)

海馬は面白い場所だ。大脳皮質だが、新皮質ではない。新皮質は哺乳類の専売特許だが海馬は哺乳類以外の脊椎動物(魚類、両生類、爬虫類、鳥類)にもある。海馬は記憶のゲートらしく、海馬に障害を負うと新しく記憶が作られなくなる。以前の記憶は読み出せたりする。海馬はそれだけでなくナビゲーションも担当している。ある場所に来ると興奮する神経細胞が海馬にある。  ヒトの脳は年齢とともに神経細胞を失い小さくなる運命にあるが、しっかり使い続けると能力はさほど衰えない。残った神経細胞が新たなネットワークを作ったりして補う。そして海馬は成人になっても神経細胞が新しく産み出されるという脳内でも例外的な部位だ。海馬の神経細胞の新生は運動によって増加し、新しく産み出された神経細胞は既存のネットワークに組み込まれて機能を果たす。回し車で運動させたマウスは迷路学習の成績が有意に向上した。これを発見した研究グループのメンバーは、この結果を知るやいなや皆ジョギングを始めた。  その後の研究によると、海馬を刺激するには散歩でも充分のようだ。私自身も散歩をすると頭がすっきりと動くような気がするが、そんなに速く神経細胞が分裂増殖するわけはないので、日常的に散歩をしているのが効いていると考えたほうが良いだろう。私の経験では一人で散歩しないと効果が無いような気がする。  最近読んだナビゲーションと脳に関する本によると、知らない道を歩くと海馬が鍛えられるらしい。いかにもありそうなことだ。これからはなるべく歩いたことのない道を選んで散歩することにしよう。

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