2007/12/23(日)21:18
『ガリヴァー旅行記』 スウィフト
スウィフトの『ガリヴァー旅行記』を読了。
(岩波文庫、平井正穂訳、1726年/1980年)
この本を読む前は、ただの「童話」だろうと思っていたけど、
大間違い。
この本に書いてあった「偏見」の恐ろしさだ。
そもそも「童話」が子どもの読み物だと思っていた自分がバカなのだ。
内容は、第一篇から第四篇まであったが、
第一篇は、あの有名な小人の国の話。
主人公が、体を仰向けのまま、手足を大地に縛りつけられていた話だ。
文章は、とても綿密で読み応えがあり、
作者の想像力の豊かさ、柔軟さに驚いた。
そして、近代の書物によく見られる理想的な合理的センテンス。
200年以上も前の本とは思えなかった。
読み始めると、あっという間に惹きつけられ、
主人公と同様、一喜一憂した。
しかし、一番興味を示したのは、第四篇。
気がついたら一気に読んでしまっていた。
ここを読んで、この本が「童話」ではなく、
「社会風刺本」だということがよくわかった。
そういえば、以前に読んだ阿部謹也さんの『自分のなかに歴史をよむ』の中にも、
今日、少年少女たちに読まれている昔話は、
元々、当時の社会風刺本であるものが多い。ということを読んだことがあった。
様々な魅力溢れる架空の国々や、想像を逸する不思議な人々を描くことで、
17世紀あたりのヨーロッパ社会の矛盾や不正を痛烈に批判した一冊。
我々人間に対する批判もたくさんあった。
心にグサッとくることがたくさんあった。
また読み直す必要がありそうだ。