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2015.08.13
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カテゴリ:本日記
本「斬」綱淵謙錠著 を読了2015/6/26。

山田浅右衛門七世吉利を父とするその息子たちの幕末から明治の激動の世の中で生きた人々を描く。

初代 貞武
二世 吉時
三世 吉継
四世 吉寛
五世 吉睦
六世 吉昌
八世 吉豊(七世の長男)、次男 在吉、三男 吉亮ヨシフサ、四男 真吉

本では三男 吉亮の目線で書かれている。

山田浅右衛門は(浅右衛門丸)アサエムグワンからアサエムガンと呼ばれる気付け薬を

副業で作っている代々世襲の試刀家である。

しかし、首斬同心たちの首斬りの仕事を引き受けさせられ斬役につく。

斬役としては、罪人がいかに苦しまずに切れるかを重んじていた。

書の冒頭、吉亮若干12歳で罪人の首を切り落とすところから始まる。

執行後父は、屍体から生胆を抜き、二つの胴の試し切りをする。

本来の試刀家の仕事はここである。

いずれも凄惨な図柄である。

だが本書はその凄惨な図柄を好むものではなく、徳川家のお試し役から明治の激動の時代の

中で生きている人々の暮らしや生き方を描いている。

士農工商から華族・士族・平民・賎民へ、さらに町奉行から市政裁判所へ、

そして東京府庁へなどの変遷を経ていく。

刑法も新律綱領や改定律例、廃刀令、刑法・治罪法(斬罪の廃止)となっていくのである。

首斬役があるとははじめて知ったが大変なことをしたものだ。

極めて珍しい始点からの小説であり新たな幕末・維新・明治の時代を知った感じがする。

本作は、第67回直木賞を受賞している。





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Last updated  2015.08.13 11:04:13
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