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2016.12.04
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テーマ:思うこと(3073)
カテゴリ:乗り物
 小惑星探査機「はやぶさ2」が宇宙へ旅立ち、3日で丸2年を迎えた。初号機「はやぶさ」の小惑星イトカワへの接近時から取材を始め、「はやぶさ2は実現するのか否か」という瀬戸際の時代を知る私(記者)にとって、今はやぶさ2が宇宙を飛び、順調に運用されていることはうれしい現実だ。だが、はやぶさ2の本番はこれから。はやぶさ2プロジェクトチームも小惑星到着後の「本番」に向けて準備に余念がない。打ち上げ約4カ月後からチームを率いることになった津田雄一・プロジェクトマネジャーは「率直に『2歳』を順調な状態で迎えられたのはうれしい。一方、気を引き締めねばという気持ちが同居している」と緊張感を緩めることはない。【永山悦子】
本番はこれから 準備に余念なく
 はやぶさ2は2014年12月3日午後1時22分に打ち上げられた。当初は11月30日に打ち上げ予定だったが、天候に恵まれず、2度の延期となった。目的の小惑星に向かう軌道に乗せるための打ち上げ期限は12月9日まで。三度目の正直で、はやぶさ2は旅立った。私は鹿児島・種子島宇宙センターで、打ち上げられたH2Aロケット26号機からたなびく白い煙を雲の向こうに消えるまで見送った。
 直後の記者会見で、国中均・プロジェクトマネジャー(当時)は「宇宙航海がようやく始まった。小さな体で宇宙の大海原に乗り出すことになったのだから、きっと厳しい運用が待っているだろうと思う。はやぶさ2は我々が希望して仕立てた船。これを作り込むことも仕事だし、使いこなすことも仕事。今はまさに新しい海に新しい船で新しい目標に向かって門出したところ。宇宙という『大自然』に小舟を送り込み、何が起こるか分からないが、気を引き締めて慎重に、そして挑戦的に仕事をしないと成功しない」と語った。国中マネジャーが、はやぶさ2への強い思いを語ったこの記者会見は、今でも強く印象に残っている。
 プロジェクトチームの思いを託され宇宙へ出たはやぶさ2は、太陽電池パネルを開き、小惑星で表面の試料を採取する装置「サンプラーホーン」を伸ばして飛行体勢を整え、主エンジン「イオンエンジン」を稼働。はやぶさは4台あるイオンエンジンのうち1台が当初から不調だったが、今回は4台とも予定通り動き、そのうち最も調子の良い1台を温存する運用が可能になった。
 小惑星の名前は15年10月、一般から7000件以上集まった提案の中から「リュウグウ」に決まった。「竜宮城」が登場する浦島太郎の物語は、浦島太郎がもらった玉手箱を開けて「おじいさん」になってしまう結末だが、津田マネジャーは発表の記者会見で、「はやぶさ2の場合は、玉手箱を開けることによって、惑星科学や生命の歴史に関する知見の発展の時計を、ぐんと前に進めることができると考え、前向きなイメージにつながると考えた」と話した。私も「昔話の結末をひっくり返すほど、ドラマチックで地球の人々を感動させる玉手箱を持ち帰ってくれるに違いない」と信じている。
地球スイングバイ 光学航法カメラが性能発揮
 打ち上げから1年後の15年12月、はやぶさ2は再び地球へ近づいた。地球の引力を使って探査機を加速、軌道を変える「地球スイングバイ」を実施するためだ。同月3日夜、はやぶさ2は地球の高度約3100キロをかすめて再び宇宙へ。そのときはやぶさ2が撮影した南極側から見た地球の写真は、はやぶさが地球スイングバイの際に撮影した地球と比べ新鮮な美しさだった。スイングバイは、狙った地点とわずか300メートルのずれという極めて正確な運用だった。地球スイングバイ前後には観測機器の機能確認も実施した。光学航法カメラなどが想定通りの性能を発揮し、小惑星への到着が楽しみになっている。
 はやぶさ2の続く挑戦は、イオンエンジンの連続運転。2016年3月22日から連続約795時間を含む運転に成功し、さらに11月22日からは来年5月初旬までかける約2800時間という最長の運転に挑んでいる。はやぶさよりも推力を25%アップした新エンジンの実力が試される。改良を重ねたイオンエンジンについて、担当の西山和孝・宇宙航空研究開発機構(JAXA)准教授は今年4月、「(順調な飛行は)当たり前だと思っている」と話していた。リュウグウ到着後の地球との通信を円滑に実施するため、大容量のアンテナを使った国内外のアンテナの通信テストもこなしている。
津田マネジャー「明日のために今日よりも気を引き締め」
 津田マネジャーは毎日新聞の取材に、打ち上げ2年の感想として、2年を迎えた喜びとともに「宇宙ミッションをやる人間の心持ちは、いつも若干複雑だ。これまでの順調が明日の順調を約束してくれるものではないので、その日その日の順調を喜びつつ、明日のために今日よりも気を引き締めている。祝いの気持ちと『気を引き締めねば』という気持ちが同居している」と話す。また、プロジェクトマネジャーになったことについては、「多くの方々の後押しの声を直接聞く機会が増えた。プロジェクトを計画通りに進めるとともに、はやぶさ2の目指すもの、成し遂げてきたことを、より多くの人々に伝えていくことができればと思う」と意気込んだ。
 津田マネジャーによると、はやぶさ2は17年5月までのイオンエンジンの連続運転を経て、18年前半はリュウグウ到着を前にした最後のイオンエンジンの運転がある。そして、同年5月後半には、はやぶさ2のカメラがリュウグウを「目視」する計画だという。17年後半のイオンエンジンの連続運転の合間には、探査機に搭載された機器が予定通り作動するかを最終点検するとともに、リュウグウへ接近した際の運用の訓練を実施する。吉川真・ミッションマネジャーがよく話す言葉に「はやぶさも『行き』はほとんど問題はなかった」がある。確かに、はやぶさは打ち上げ直後にイオンエンジン1台の不調が判明したが、イトカワ到着までは運用に不慣れな面を除けば大きなトラブルはなかった。はやぶさ2にとっても、本格的な試練はこれからなのかもしれない。だからこそ、津田マネジャーが「気を引き締めて」という言葉を繰り返すのだろう。
 津田マネジャーは「はやぶさ2プロジェクトチームは、日々の(探査機の)管制をしながら、はやぶさ2のくせをつかんだり、潜在能力を引き出す訓練を続けたりしている。引き続き、進化していくはやぶさ2を見守ってほしい」と話す。
 「リュウグウを目視」や「はやぶさ2の潜在能力」と聞き、胸が高鳴るのは私だけではないだろう。はやぶさ2が、小惑星探査のどんな新たな世界を見せてくれるのか。来年「3歳」の誕生日を迎えたはやぶさ2の成長ぶりが楽しみだ。
-毎日新聞 12/3 8 時間前 より一部抜粋-

12/3ではやぶさ2は2歳になる
1歳の時地球に再び近づきスイングバイは成功している
4基のエンジンのうち1基は温存しているという(今回) 
イオンエンジンそのものがよくわからないが・・。
795時間運転は順調に終えている
次は2800時間連続運転だ
その17年5月、はやぶさ2はリュウグウを黙視する位置にいる(予定)





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Last updated  2016.12.04 10:12:34
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