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カテゴリ:狩猟
昨日のことは置いといて、気分一新、有休使って1人で忍び猟に出撃。
標高の高い山には雪がかぶっているので、モノは下ってきているはず。期待で胸を膨らませ、歩き始めた。 今日入った山は、いくつかある俺の猟場の中で、ここ数年来通って(といってもまだ3年だが)、鹿の谷を渡る場所や、水を飲みに下りる場所、寝屋場なんかのデータを頭の中の地図に蓄積していっていた。 そして、前回入ったときに初めてモノと出会えて、外しはしたものの、矢を掛けることができた。 なんだか今日は条件が良さそう。あとは偶然会えるタイミングだけかな。 ゴリゴリと植林地の中を歩いて行くと、今朝の足跡発見。数頭の群れだな。 と、その先に別の群れの足跡を発見。これは近いぞ。 ザックを下ろして、銃の安全を外し、そろりそろりと谷を覗くと、ヤツはいた。 パッカ~ン!(6粒) ドッカ~ン!(スラグ) お、びっこ引いてる。え、座った! こりゃ当たったぞ! しかしヤツも然る者。俺が近付くと再び立ち上がって走り始めた。 後ろ足に当たっているので実質3本足で谷を下り始めた。 このまま谷を下って川に落ちるのかなと思ったら、横に切って動き始めた。 ヤツも必死だが、俺も必死。 最初に撃った場所に行って確認したときに匂いで分かったのだが、足以外に弾は腹にも入っている。 このまま逃がせばヤツは苦しんで死ぬだけ。 絶対、半矢でほってはおけないのである。これは師匠から厳しく言われている。俺が仕留めてやらねばならぬ。 足跡と血糊をたどって延々山の中を30分。 氷点下の山の中で、オレンジ帽子のつばから汗がぽたぽたしたたってくる。 谷を二つ渡り、尾根を二つ越えた。 三つ目の谷で、座り込んで休んでいたヤツにようやく追いつき、走り始めたところに再度矢を掛けた。 当たって、動けなくなったが、それでも致命傷になってない。 もう引導を渡してやろう。 弾をスラッグに変え、ヤツのそばに行き・・・(以下省略) こうして、銃の許可を貰って3シーズン目、ようやく犬無しの1人忍びで鹿を仕留めることができた。 若くて小さな雄だったが、1頭は1頭である。 解体の方も1頭まるまるやるのは初めてだったが、なんとか綺麗に処理をして、袋2つに綺麗に分け、ようやく下山。 こんな山だった。 30分追跡して山が変わったので、どこまで移動したのかなあと思っていたが、結構下流まで下っていた。 渓流につららがぶら下がっていた。 夕方、2つの袋のうち1つを持って、師匠宅を訪問。 やっと1人で仕留めることが出来たという報告。 師匠も顔を見るや否や、右手を差し出し「おめでとう!」 「で、渓遊ちゃん、何発で仕留めたの?」 「師匠、呆れてくださいね。」 「ん?」 「15発」 お茶の入った湯飲みを口にやろうとした師匠の右手が止まり、台所から聞こえていた、奥様の包丁がまな板を叩く音が止まった。 沈黙を破ったのは奥様の豪快な笑い声。 「なに、やってたの~(笑)」 「半矢にしたか?」 さすがに師匠はするどい。 実は半矢にしてから仕留めるまでの30分、時々鹿も止まってしゃがみ込んでいた。そのとき何度か矢を掛けたのだが、なかなかトドメにはならず、結局通算15発を使ってしまっていた、という訳。 鉄砲が下手なのは今に始まった事じゃないので、今更驚きも呆れもしないが、さすがに撃ちすぎだわさ。よほどこっちも必死で平常心を失っていたのだろう。 師匠宅から帰宅後、気持ち良い疲れの中、缶ビール2本で見事に撃沈、意識不明。 なんともやり遂げた感のある1日だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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