カテゴリ:美術
![]() ![]() ![]() ミュンヘンを代表する3つのピナコテークは、 ルーベンスを代表とする宗教絵画ならアルテ、 風景画から、モネやゴーギャン、クリムトらの作品ならばノイエ、 ピカソやダリ、マグリットなど現代美術ならモダーネと、 それぞれ特色がありますが、レンバッハ・ハウスは、 近代・現代美術を中心とした、バランスの良い展示構成。 ----- ここは、画家レンバッハの私邸を美術館にしたもの。 なので、レンバッハの部屋、レンバッハ自身の作品、 また、ミュンヘン在住作家たちの作品も展示されています。 これらの古典絵画的な、重厚で丁寧な作品群に加え、 カンディンスキーやクレーなどの近代美術が集められ、 現代美術では、ヨーゼフ・ボイスに、ジグマー・ポルケ、 ゲルハルト・リヒターらの作品が並びます。 収蔵されている作品の時代の幅広さと共に、 現代美術に対する理解の深さに敬意を覚えさせてくれる、 そんな美術館です。 ===== 古典的絵画については、私は、「へぇ~」とか「ほ~」しか言えないので、飛ばしますが、 温かみのある筆致で、丁寧に描かれた風景や人物は、 「絵画」本来の魅力を味わせてくれます。 近代絵画では、カンディンスキーやクレーの作品も素敵でしたけど、 フランツ・マルク氏の作品が気になりました。 『東京-ベルリン ベルリン-東京 展』で観た普門暁さんの「鹿・光」や、 フライブルクで見て良いなと思った、ライオネル・フェイディンガーさんの「橋」 などに連なる、キュビズム的絵画。 といっても、分かりにくいものではなく、元のイメージを保ちながら、 様式美に組み替えて表現した、という作品です。 ただ、色調がちょっと暗めで、もう少し明るければ、 かなり好みなのですけど。 ===== ヨーゼフ・ボイス氏の「汝の傷を見せよ」は、 収蔵時に物議を醸したという、いわくの一品。 部屋の一方に、死体用の運搬器具や椅子、モップなどが 2つずつセットで、アンバランスに配置されています。 ざわざわと不安感が湧き上がってくる、不思議な空間展示。 それぞれのモノ自体は、ありきたりな品物ですし、 死体用の運搬器具を、美術館に置くことへの抵抗はあるでしょうし、 物議を醸したのも分かります。 決して、愉快なものでも、美しいものでもないのですが、 展示の意味を考えさせられる、そんな作品です。 ===== 階段の壁に突き刺さったガラス瓶のカケラやら、 四角い箱にセーターを着せてみた作品、 階段空間に、隙間の空いた煉瓦塀を作った作品など、 ちょっと気になってしまう現代美術にも事欠きません。 壁の一面が鏡になっている廊下に、作品プレートがあって、 どこに作品があるのか悩んでいたら、鏡自体が作品だったり、 壁や天井にも、作品が自然と収まっていることがあり、 なかなか楽しませてくれます。 「現代美術というゲーム」を「ゲーム」として割り切れば、 面白い「仕掛け」が随所にある美術館です。 ===== 少し離れたところ、駅の構内空間に、 「クンスト・バウ」(芸術建築)という展示空間があり、 これも同じチケットで入場可能です。 (知らなかったので、別な日にそれぞれお金を払ってしまいましたが。) ----- ここでやっていたのが、『オラファー・エリアソン』展。 今年の初め、原美術館で『オラファー・エリアソン:影の光』展をやっていた作家さんです。 その時の感想はこちら。 いや、偶然ですけど、なんだか嬉しいものですね。 ----- さて、結構広い展示空間なのですが、なんと単独作品での勝負。 300mくらいあろうかという、壁の一面を使って、 展示空間を光で満たす、という実験的な作品。 ![]() ![]() ![]() ![]() 原美術館の作品を観られた方は、2階の奥の部屋が、 黄色い光で満たされていたのを覚えているかと思いますが、 おそらくあれと同じ方法を使っているのだと思います。 違うのは、原美術館では、黄色の単色でしたけど、 こちらの作品は、光の色が制御されていて、 右から、左から、真ん中から、色調が次第に変化する、 という、動きのある作品になっていること。 ----- 空間の真ん中に部屋があり、オラファー・エリアソン関連書籍が置いてありました。 これを見ると、初期は、バックミンスター・フラー的な、 構造体作品を作っていたみたいですね。 原美術館で観た作品なども収録されていました。 ===== 常設展 @レンバッハ・ハウス [Lenbachhaus] http://www.lenbachhaus.de/neu/index.htm 会期:----- 作者: レンバッハ (Franz von Lenbach:1836-1904) カンディンスキー (Wassily Kandinsky:1866-1944) wiki クレー (Paul Klee:1879-1940) wiki フランツ・マルク(Franz Marc:1880-1916) wiki ヨーゼフ・ボイス (Joseph Beuys:1921-1986) wiki ゲルハルト・リヒター (Gerhard Richter:1932-) wiki ジグマー・ポルケ (Sigmar Polke:1941-) 作家略歴 ★★★★★ ===== 『オラファー・エリアソン』展 @クンスト・バウ [Kunstbau] (チケット・HPは、レンバッハ・ハウスと共通) 会期:----- 作者:オラファー・エリアソン (Olafur Eliasson:1967-) wiki ★★★☆☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 8, 2006 01:47:55 AM
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