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February 8, 2007
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カテゴリ:環境

 昔、あるところに、賢者がおりました。

 その賢者を困らそうと、一人の少年が、
 小鳥を手に握って、賢者に問いました。
 「この鳥は、生きているか、死んでいるか?

 賢者が「死んでいる」と答えたなら、小鳥をそのまま放し、
 「生きている」と答えたなら、小鳥を握り殺そうと考えたのです。


=====
私は昔から、二者択一が苦手です。
是か非か、善か悪か、敵か味方か、白か黒か…

確かにそれは、単純化には役に立ちますが、
単純化されることによって、斬り捨てられているものが、
私には気になってしかたないのです。

=====
語学学校のベルギー出身の友人から、
日本人だったよね。
と言われて、イルカ漁の映像を見せられました。

正直、衝撃映像でした。

うーん。しかし、日本では、クジラは食べるけど、イルカは食べないし、
浜に打ち上げられたイルカを、海に返せないで殺した話とかあったけど…。
これは、明らかに違うよねぇ。確かに日本だけど、どこの漁港だろう?


=====
というわけで、調べてみて、びっくり。
日本では年間20,000頭近くのイルカが捕獲されているそうです。

意外と多い、ですね。(こちら参照)

3/4程度が、岩手県での漁獲であり、主に水産資源として捉えられている、
とのことですから、食べるんだな。私は食べたことあるかな?

見せてもらった映像では「鯨肉」として売られていました。ははぁ。
まぁ、クジラとイルカは、分類上は大きさの違いだけ、ではあるので。
なので、食べたことあるかも。

-----
今回見せてもらった映像は、静岡県の富戸で1999年に行われた「イルカ漁」が元ネタ。
日本語で写真になっているのはこちら

どうも、ここで行われている「追い込み漁」という漁法が「残酷だ」と問題視されているらしく、
反対運動のサイトでは、専ら、この漁法が行われている和歌山と静岡が槍玉にあげられ、
解体されるイルカや、海が真っ赤に染まった映像などが、提供されています。
(最も漁獲高の多い、岩手県の映像データは、反対運動のサイトでは見つけられませんでした。)

=====
さて、イルカ漁について、多分、キーとなるのは、以下の観点でしょう。

 ・イルカ漁の文化性をどう捉えるか
 (漁の形態/漁獲後の加工/食文化など)

 ・イルカの漁業に対する悪影響
 (害獣駆除としての観点)

 ・イルカの種としての保存について

突っ込んで調べてはいませんが、クジラ漁でも、他の動物食でも同じ観点で議論できるはず。

-----
私の見た反対運動のサイトでは、「かわいそう」に訴える手法が使われていましたが、
「他の魚は?」「牛や豚や鶏は?」という疑問に答えられるものではありません。

イルカは、牛や豚より知能が高いから」というのを理由にする人もいますが、
これも、別の何か危険な思想を孕んでいる気がして、私は賛同できません。

-----
また、賛成派の、
アメリカは鯨油のためにさんざ捕鯨して、クジラを絶滅に追いやっておいて、何を今更。
という返しは、私も時々使う論法ですが(苦笑)、問題の本質から外れています。

今回の場合、「ベルギー出身だよね?『ホテル・ルワンダ』観た?」と返してみましょうか。
(ルワンダの民族対立は、ベルギーによる植民地支配政策に原因がある)
ね? この言い方だと、問題の本質からずれてることが明らかでしょ?

文化的観点からの意見には、説得力がありますが、これも捉え方次第。

例えば、江戸時代には、牛や豚は基本的に食べなかったわけで
文化保護の観点から、日本では、牛や豚を食べるのは禁止すべきだ
とか、あるいは、江戸時代には薬として犬を食べていた、という話をもとに、
日本人は、もっと犬を食べるべきだ
なんて言ってみれば、「文化とは何ぞや」を掘り下げる必要が見えるでしょう。

ついでに触れておくと、「犬食文化」について、
「犬を食べるなんて…」
という人がいますが、同じように
「イルカやクジラを食べるなんて…」
と思われているのだ、ということは知っておいた方が良い。

時々「犬食」を馬鹿にしながら「鯨食」を擁護する人がいますが、
「文化」の観点からは、両者に相違はないのです。

=====
さて、じゃぁ、お前自身は、賛成か、反対か、
と聞かれると、難しいところではあります。

しかし、「魚の一種」だと考えれば、種の絶滅につながらない形で、
(つまり、きちんとした漁獲管理が行われるという前提で)
漁獲を行う、ということについては、特に問題はないと思います。
(「イルカもクジラも哺乳類です」との書き込みはご遠慮願います。)

それを消費するかどうかは、それぞれの判断で行えは良いだろうと。
(ベジタリアンが肉類を食べないように。)

そして、もちろん、それが、過剰な殺戮に至らないことを考慮する必要もあります。
そのためには「食べる」という行為について、他の命に対する感謝を忘れないこと。

=====
なんて書きながら、実は、「賛成か、反対か」「食べるか、食べないか」
以外にも選択肢はあるのです、ということをお話して、筆を置きましょう。

富戸で、現在、イルカ・ウォッチングのエコツアーを行われている
イルカ漁を行っていた元漁師さんのお話です。

http://www.all-creatures.org/ha/rengesan.html

「文化」にも、需要があるから供給がある、という側面があります。
イルカ・ウォッチング・ツアーが良い形で軌道に乗れば、
イルカの保護への声も相乗効果で高まっていくことでしょう。

-----
「賛成」「反対」を声高に叫ぶのではなく、両者が共存できる、
第三の道を模索し、提案していくこと。

「白か、黒か」だけでは、世界は窮屈です。
世界はオセロのゲーム盤ではない。
様々な色に彩られて、だから世界は美しい。

=====
(冒頭の話の続き)

 答えを迫る少年に、賢者はこう答えます。
 「少年よ。答えは汝の掌の中にある。

 それを聞いて、少年は、そっと小鳥を空に放ちました。
 小鳥の命と、少年の心を救って、賢者は優しく微笑んだのでした。


=====
 ※ 今回紹介した「お話」は、ソロモン王のエピソードだと思いますが、
   加納朋子先生作の『掌の中の小鳥』からイメージを引用しました。



加納朋子先生の、現時点の最高傑作と言っても良い、傑作連作短編集。
読んだあと、ふわりと優しい心に包まれる、珠玉の作品です。






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Last updated  February 9, 2007 01:41:05 AM
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mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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