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February 12, 2007
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カテゴリ:美術
今まで、ベルリンベアーやミュンヘンのライオンを紹介しなかったのは、
正直、つまらない作品が多いからです。

これは、真っ白な同型の動物に、作家がペイントする、という競作企画なのですが…
(東京では「牛」でやっていましたね。「牛」である必然性が見えなくて、スルーしましたが)

ミュンヘンの「ライオン」は、まだましでしたが、それでも、
紹介に値するほどのものには、お目にかかりませんでした。

「ベルリンベアー」に至っては、良く出来た落書きですね、と言いたくなるほど。

=====
作家の主張はあっても、思想がないのです。自己アピールだけ。
だから、「作品」に深みが感じられない。

「熊」の造形にどう挑戦し、どう見せるのか?
世界の作家たちが競演する中で、何を、どういう意図で、どう描くのか?

こういう視点に耐えられる作品は、残念ながらほとんどありません。
かと言って「可愛げ」があるわけでもなく、デザインとしても中途半端なものが多い。

せっかくの面白い企画を、作家たちが、よってたかって台無しにしている感じです。

=====
士門先生に、この「ベルリンベアー」のカタログ写真集を見せて頂いたのですが、
「自分の国」のアピールとして、民族衣装を着せているのが、ちょっと面白いくらい。
あと、中国の作家さんの作品くらいかな? 紹介しても良いと思えるのは。

その中で、士門先生の作品は、お世辞ではなく、群を抜いていました。

-----

 真っ白な前面に美しく流れる、書の文字。
 背面には、うねる大波。
 双方向から打ち寄せる波は、黄金の渦を巻いて、熊の尻尾を形作ります。

 すごい。

 文字の美しさは、そのまま日本文化を体現した美であり、
 2つの大波は、太平洋と日本海と取ったなら、日本の国を、
 太平洋と大西洋と取ったなら、文化のぶつかり合いと調和を、
 そのまま意味しています。
 そして、波が渦巻いて尻尾になる、その造形的必然性。


-----
本物を見たいのですけど、どこにあるんですか?
巡回している方は、どこの国か分からないけど、日本大使館にも、目立たないように置いてあるのがあるわよ。
目立たないように?

個人作家の宣伝につながるからじゃないの?と先生。
あ。いや、えっと、そうか。
有名作家の作品だったら、喜んで飾るわよ。
ええ。そう言われれば、確かに、「美しい国」日本は、そんな国。

事なかれ主義、ではあるのですけど、
それは、自分の「美意識」に自信がないことの現われでもあります。

-----
日本が文化的に本当に素晴らしいものをもっていて、
たくさんの素晴らしい作家さんを抱えていて、
それでも、今一つ文化的に「つまらない」のは、
「内輪の評価」が変な価値を持っているから。

だから、マンガやJ-POPなど、「鑑賞者」がちゃんとしている世界では、
面白い作品が、いくつも出てきて、さらに高められている。

演劇の世界だって、様々なジャンルミックスがあって、
その中で「面白いもの」がちゃんと存在している。

=====
ピカソもダヴィンチも、好きかどうかは自分で決める
紺洲堂主人さんの言う「フハッ」がない作品なんて、「私」には価値が無いのです。

素直にそれで良いはずなのに、権威とネームバリューが先に来てしまう。
入門としては、それで良いのでしょうけど…。

いや、でも、きっと、良くなって来ているのだと思います。
しかし、それが、「国」まで、たどり着くのは、いつのことか。
「権威」までたどり着くのは、いつのことか。

-----
オノ・ヨーコさんにしても、草間彌生さんにしても、活躍の場を海外に求めたわけですし、
村上隆さんも奈良美智さんも、海外での評価が先でした。
千住博さんも、杉本博司さんも、海外拠点ですし…。

彼らの作品が「日展」で評価されたとは聞いたことがありません。
もちろん、「日展」から、そのキャリアを花開かせる才能もあるのでしょうが。

一方で、彼ら彼女らの名前を紹介してきた「目」はあるわけで、
それらがあるからこそ、私たちが「作品」に出会うきっかけがあったことも、
忘れてはなりません。

=====
美しいリソースがいっぱいあるのに、フェノロサや、ブルーノ・タウト
「再発見」してもらうまで、その価値に気付いていなかった日本。

本当は、美術の世界でも、世界中から憧れと羨望をもって、
「学びに行きたい」と思わせるだけの、多様で、独特で、深みのある、
素晴らしいリソースが、今でもいっぱいあるのです。

-----
例えば、正直、東京の方が、ベルリンより「美術」のレベルは高い

そりゃ、日本には、名の通った大作家の「西洋絵画」なんてありませんよ。
なくて、当たり前じゃないですか。
(ま、倉敷の大原美術館みたいな美術館もありますけど。)

-----
でも、ロダンに対し、平櫛田中翁がいる。円空仏がある。
岡倉天心が育てた、日本画の才能たちの素晴らしい作品。
円山応挙のリアリズム。富嶽三十六景のダイナミズム。
曼荼羅の緻密さ。観音仏の永遠の微笑み。絵巻物の面白さ、軽妙さ。

近代デザインの美しさ、建築の面白さ。
マンガゆるキャラネットアニメライトノベル
ミステリー時代小説経済小説

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日常生活だって、
江戸小紋西陣織、「」の多様性。
「野にあるように」の華道、「」の伸びやかさ、
香りが「道」になる香道、その道具の美しさ。
釘隠しの芸術性、日本庭園の精神性。

街角のカフェのセンス、ギャラリーのウィンドーに覗く若手作家の作品、
居酒屋のメニューのレイアウト、洗練された地図のヴィジュアル。

-----
歌舞伎と京劇の対比、の仮面性、能装束の絢爛さ、文楽の伝統、
節分雛祭り端午の節句七夕祭…それぞれの地方の多様な祭り。

えっと…音楽とか、ダンスとかは詳しくないのでここは省略。

-----
これらが魅力的でないとでも?

それなのに、才能は海外に流出しているのです。
むしろ、呼び込めるだけの「リソース」も「魅力」もあるのに、です。

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言うまでもありませんが、私は「日本文化」を殊更 称揚しようとは思っていません。

ただ、「西洋」とは違う「伝統文化」が日本にはあり、
それを大切にして、その魅力をちゃんと理解することが、
価値の多様性を認める、ということだ、ということです。

=====
小学生に英語を教えるくらいなら、もっと他に、しなきゃいけないこと、
体験させてあげなきゃいけないことは、いっぱいあるだろう、と思うのです。

それは、世界の広さであり、文化の多様性であり、それを知った上での自分達の文化。

日本語の美しさも知らず、日本の文化も芸術も語れず、
日本語でのコミュニケーションも取れず、何が国際化なのだか。

ミュンヘンのユースで出会った、ある青年のレベルの低さ、感受性の鈍さには、ぞっとしました(こちら
きっと「オレは海外知ってるぜ!でも日本が最高!」とか、帰国して言ってるんだろうなぁ。
(もちろん、マイミクになって頂いたような、素敵な人達にも、たくさん出会ったことも言い添えます。)

-----
日本を代表しているはずの「政治家先生」が、その程度のレベルなのだから、仕方ないですね、
ではなく、そんなレベルの「先生」には、もういい加減、降りて頂かないと。

若者の悪口を言うくらいなら、そういう若者を育ててしまった自分たちを恥じる、
そんな謙虚さを持たない「年寄り」どもには、何も期待してません。できません。

=====
ま、「文化」に関して言えば、浮世絵しかり、歌舞伎しかり、黄表紙しかり、
本当に面白いモノは、「政治」とは無関係に育ってきた、という部分が常にあるんですけどね。

ベルリンベアーのつまらなさは、実は、行政が絡んでいるから、なのかも知れません。





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Last updated  February 14, 2007 02:15:36 AM
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mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
I read your post and wished I'd wrtietn it@ I read your post and I read your post and wished I'd wr…
mrtk@jp@ Re:★芝居★ 劇団ここから 『春の遭難者』 (10/13) こちらこそ、素晴らしい時間を過ごさせて…

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