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September 3, 2008
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カテゴリ:美術
ディック・ブルーナの名を、もし「誰だっけなぁ?」と思ったとしても、
ミッフィー」あるいは「うさこちゃん」を知らない人はいないでしょう。

その意味では、このblogで取り上げてきた中で、
一番の有名人かも知れません。

-----
ミッフィー」「うさこちゃん」の名称は、版権の関係。
なので、どちらの名前で知っているかで、世代が分かるそうです。

ちなみに、私は「ミッフィー」派。

-----
実は、この「ミッフィー」という名は、アメリカでの呼称で、
ブルーナ氏の本国オランダでは、つまり、原作では、
ナインチェ」という名前なんだそうです。

うーん、知らなかったなぁ。

-----
さて、そのミッフィーのシリーズの中に、
うさこちゃん びじゅつかんへいく」というお話があります。


お父さんお母さんと、美術館に行くことになったミッフィー
ミッフィーは、様々な「現代美術(モダン・アート)」に出会います

-----
このお話を入り口に、ミッフィーと共に現代美術を鑑賞し、
あわせてブルーナ氏の軌跡をたどろう、という展覧会。

ちょっと子供向けかなぁ、と躊躇してたのですが、行ってみれば、
十分に観応えのある、むしろ大人向けな展覧会でした。

=====
最初のフロアは、「現代美術」の紹介。

ちょうどトーク・ツアーのタイミングだったので、
解説を聞きながら拝見したのですが、
その解説をまとめるなら、「現代美術は自由だ」ということ。

-----
ミッフィーが「本物そっくりのりんご」と評した「写実主義」。

聖書でも神話でも肖像でもなく、日常を主題として描く。
そして、それが「真当な作品」として扱われる。
これは、つまり「画題」からの解放なんだ、と。

-----
そして、カルダーのモビールに象徴される動く彫刻。
錯視も含めて、固定しない、という自由。

-----
手法の自由。
秘伝としての遠近法、均整の取り方、デッサン力、
そういったものから離れて、「どう描くか」こそが
モダン・アートの課題。

-----
抽象絵画は20世紀の「発明」です。

カンディンスキー
絵画は音楽に近付くべきだ
という言葉が引かれます。

音楽を聴いて、何かを感じるように、
絵を観ることで、何かを感じる。

-----
印象派の絵は、色彩からの自由とも言えます。
点描は、科学的な考察に基づいた、色彩のマジック。

-----
技法だって自由です。
コピー、コラージュ、既にあるイメージを繰り返し、組み合わせ、作品にする。

=====
階をつなぐコーナーでは、ミッフィーの絵本が並び、ビデオが流れ、子供が遊べるように。
ここだけは写真もOKです。

0 3.jpg

=====
ブルーナ氏は、1927年生まれ。
2008年現在でもご健在で、今でも、作品を作り続けていらっしゃいます。
オランダの街では、自転車で走ったりする姿を見ることが出来るとか。

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もともと、現代美術家を目指したのですが、
実家が出版社だったため、実家にデザイナーとして入社し、
ぺーパーバックや、ポスターのデザインを多く手がけました。

その一部が展示されているのですが、これが本当にすごい。
質・量・手法、多彩で圧到的、そしてそれぞれが魅力的。

それこそ、キャラクターデザインからコラージュ技法の使用、
現代美術のエッセンスを、デザインに昇化する力は見事。

-----
これらの経験が、「ミッフィー」には生かされているのです。

ブルーナ・カラーと言われる、子供に優しい、限られた色彩の鮮やかな組み合わせ。

太い輪郭線は、先にセル画に描いておいて、
色を塗ったシートに後から重ねることで、
他の色と混じることなく、くっきり浮かび上がります。

この線も、よりシンプルになるよう、何度も(時には100回も)
推敲が重ねられた上での決定線。

-----
シンプルで可愛い、には、蓄積された経験と、
我々の目には映らない努力が隠されているのです。

=====
最後のコーナーは、輪郭線の描かれたセル画と、白紙が用意され、
ブルーナ氏の作画技法を追体験できます。

はみ出したって良い、輪郭線にあわせたって良い、自由な感覚で組み合わせて、
その上にブルーナ氏の輪郭線をのせれば、オリジナル「作品」の出来上がり。

-----
夏休みだけに、子供達がいっぱい挑戦していて、微笑ましい風景でした。

=====
後半の、ブルーナ氏の足跡をたどるコーナーは、
あると思ってなかったので、嬉しいサプライズで、
最後のコーナーとあわせて、とても面白かったのですが、
前半の現代美術紹介は、「ミッフィーの観た作品」と
展示作品のギャップが少々大きいかなぁ、と。

ちょっと、「ミッフィーの観た作品」から拾った意図を
難しくひねりすぎている感がありました。
そういう意味では、難易度的には大人向け。

でも、それなりに有名作家さんの作品が集められてはいます。
フェルナン・レジェの作品はちょっとブルーナ風で良かったなぁ。

もう一つ加えるなら、子供向け、にしては、展示位置がちと高い。
大人がかがまなきゃいけない高さで展示してあっても、良かった気がします。
台を置く、とかね。

触れる彫刻なんかも展示してあげれば…と、これは、「原作」から離れてしまいますけど。


-----
とは言え、ブルーナ氏の優しさが伝わってくる、
とても素敵な展覧会でした。

80歳を過ぎてなお、子供たちに夢と幸せを与え続けているブルーナ氏。
ご健康をお祈りすると共に、私自身、なにかしら見習いたいものだなぁ、と思いました。

=====
『美術館に行こう! ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方 』

  @サントリーミュージアム (大阪・天保山)

[会期]2008.07/25(金)~2008.09/15(月)
[開館]10:30-19:30
[料金] 一般 1,000円 / 大学生・高校生 700円 / 小中学生 500円

www.dickbruna.jp

作者:
 ディック・ブルーナ [Dick Bruna] (1927-) wiki

 児島 虎次郎 [KOJIMA Torajiroh] (1881-1929) wiki
 北代 省三 [KITADAI Shozo] (1921-2001)
 太田 喜二郎 [Ohta Kitaroh] (1883-1951)
 マルク・シャガール [Marc chagall] (1887-1985)
 ジョルジオ・デ・キリコ [Giorgio de Chirico] (1888-1978)
 モホイ・ナジ [Laszlo Moholy-Nagy] (1895-1946)
 ヴァシリー・カンディンスキー [Wassily Kandinsky] (1866-1944)
 ミロ [Joan Miro] (1893-1983)
 アルフレッド・シスレー [Alfred Sisley] (1839-1899)
 フェルナン・レジェ [Fernand Leger] (1881-1955)
 アンディ・ウォーホル [Andy Warhol] (1928-1987)
 マン・レイ [Man Ray] (1890-1976)
 ロバート・ラウシェンバーグ [Robert Raushenberg] (1925-2008)

======
なお、大阪駅はただいま改装工事中なのですが、
ここのポスターもにブルーナ氏の作品が使われています。
1 2.jpg


また、ローソンさんでもキャンペーン中。
ハッピー子育てプロジェクト」。
展覧会とのコラボはないですけどね。

WS000049.JPG


あと、「なっちゃん」も。
こちらは、展覧会ともコラボありでした。

0.jpg






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Last updated  September 7, 2013 03:06:22 AM
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mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
I read your post and wished I'd wrtietn it@ I read your post and I read your post and wished I'd wr…
mrtk@jp@ Re:★芝居★ 劇団ここから 『春の遭難者』 (10/13) こちらこそ、素晴らしい時間を過ごさせて…

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