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November 22, 2008
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カテゴリ:美術
名作と言われて、しかし、読んでない作品って、たくさんあるのですが、
残念なことに、『赤毛のアン』もその一つです。

しかし、原作を読んでなくても感動できる、密度の濃い展覧会でした。



=====
もともとの、アンのストーリーに立脚した企画自体も魅力的なのですが、
この展覧会では、それに加えて、

 作者 モンゴメリの魅力
 訳者 村岡花子の魅力
 舞台 プリンス・エドワード島の魅力

が語られます。

=====
【モンゴメリの魅力】

1874年、プリンスエドワード島で生まれたモンゴメリの人生は、
決して平担なものではありませんでした

-----
母は生後20ヶ月で亡くなり、父は西部へ行き再婚します。
彼女は、母方の祖父母に引き取られ、厳格に躾られます。

幼い頃から、文学を志し、教師を夢見ますが、
女性が学歴を得ることは、大変難しい時代でもあり、
それを説得するのも、容易ではありませんでした。

父の元から通ったハイスクールには、義母から家事を押し付けられ、
ほとんど行けず、1年足らずで、父の元から戻り、
教員免許を取得、さらに大学へと進学し、小学校教師の職を得ます。

-----
老夫婦が孤児院に男の子を申し込んだら、間違えて女の子が送られてきた
という新聞記事からヒントを得て、彼女は『赤毛のアン』を書き始めます。
1年足らずで書き綴られた作品を出版社に送るも、4社から断わられます。

そして、この作品は、そっと仕舞われてしまったのですが、
しばらくして、再びこの作品を手にとって、面白さを確信した彼女は、
もう一度別の出版社に作品を送ります。

こうした経緯をたどって、作品が日の目を見たのは、1908年のこと。
そう、今年は、「赤毛のアン」出版100周年なのです。

出版された「アン」の評判は、大変良いものでした。

-----
作家としては成功したモンゴメリでしたが、
その裏で、私生活では苦労をしていました。

祖父の急死を受け、祖母の面倒を見るようになり、
祖母の死の後は、長年住み慣れた家を離れざるを得なくなります。
その時に5年前から婚約していた牧師と結婚するのですが、これが、36歳の時。

その後も、牧師の妻として、地域活動に貢献し、
夫の精神的支えとなり、母として子を育て(死産も経験します)
そんな中で、数々の小説が書かれていったのです。

=====
さてさて、展覧会では、小説の中にも登場する犬の置物や、フルーツ籠
そして、直筆原稿が展示され、モンゴメリの足跡が紹介されます。

-----
面白かったのは、彼女が作っていたスクラップ帖のコピー展示。

固定台に置かれたのを、自由にめくれるようになっているのですが、
興味や関心、趣味が伺えて興味深い。

モンゴメリって、自分の感じたたくさんの「素敵」を昇華して、
「アン」という物語を綴っていったんだろうなぁ、と。

=====
【村岡花子の魅力】

訳者 村岡花子の人生も、波瀾に満ちたものでした。

関東大震災では、夫の経営する印刷会社が倒産。
33歳の時には、長男を病気で亡くし、戦争では、多くの友人との別れを体験します。

-----
東洋英和女学校で学んだ彼女は、カナダ人教師から英語を学びました。
その後、山梨英和女学校で英語教師をし、教文館で本の編集に携わります。
王様と乞食」の翻訳や、家庭雑誌「青蘭」発行。

また、NHKラジオでの子供向けニュース担当として、
「ラジオのおばさん」として親しまれますが、
これも、太平洋戦争が始まるまでのことでした。

親しかったカナダ人宣教師たちは、戦争が始まる前に、
日本から去っていかざるをえませんでした。
その時に、彼女へと託された本の一冊が、「赤毛のアン」でした。

戦後、彼女の手になる翻訳が、三笠書房より出版されます。
今現在、新潮文庫から出ている文庫版も彼女の訳です。

-----
カナダ人宣教師から贈られたアンの物語は、村岡花子さんの手によって、
日本の子供達への素敵なプレゼントとなったのです。

=====
展覧会では、彼女の生涯の紹介と、ゆかりの品々が展示されています。

面白かったのは、ラジオの子供ニュースが聞けること。
落ち着いた、ゆっくりとした語り口は、さすが「ラジオのおばさん」だなぁ、と。

=====
【アンの世界の魅力】

続いて、シリーズ第1作「赤毛のアン」の作品世界が展示されています。
所々のエピソードは、聞いた覚えがあるなぁ…

新潮文庫の新装版の表紙となっている
丁寧で端正な、ガッシュ水彩画の原画が並びます。

再現された物語中の料理。

プリンスエドワード島で演じられているミュージカルのポスターと衣裳。

-----
アンを原作とした、映画とアニメの紹介。
「世界名作劇場」の「赤毛のアン」



おお~。懐かしい!
たしかに、そんなのやってた覚えはあります。
ちゃんとは覚えてないですけどね。

当然、当時は、高畑勲さんが監督だとか、
宮崎駿さんが作画スタッフだとか、知りませんでしたけど。

映画版も美しい。



=====
【プリンスエドワード島の魅力】

当時のプリンス・エドワード島で使われていた生活用品の展示。
洗濯機とか、アイロンとか、ちょっと懐かし面白い感じ。

今の生活に関わる展示として、巨大なキルト作品、刺繍作品。

そして、モニターには、吉村和敏さんが撮られた、
プリンスエドワード島の四季が映されます。

  


何と言うか、手の届く幸せって、良いなぁ、と。
本当の意味で、豊かだなぁ、と。

=====
いやはや、ものすごく豊かで盛りだくさんな内容で、
お土産物(タイアップグッズ。意外と好きだったり。)も充実していて、大満足でした。

家を探したら、本がある、と思ったんだけど、2巻しか見つからないんだよなぁ。
ちょっと読んでみたら、いや、面白い。とは言え、まだ読み終えてないですけど。

新装版(訳は村岡花子さんのまま)も出たそうだし、
ちょっとちゃんと読んでみますか。



=====
『赤毛のアン』展

  @高島屋大阪店 (難波)

展覧会(出版100周年記念企画)公式サイト:http://www.anne100th.com/

[会期]2008.09/04(木)~2008.09/15(月)
[開館]10:00-20:00
[料金] 一般 800円 / 大学・高校生 600円 / 中学生以下無料


東京、名古屋、広島、大阪では終わりましたが、
年明けには福岡、仙台、札幌、そして京都、大分、横浜と
まだまだ巡回は続くようですね。

お近くで開催された際には、是非。





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Last updated  November 23, 2008 02:13:23 AM
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Comments

mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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