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March 13, 2009
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カテゴリ:美術
新春早々、ウェッジウッド倒産のニュースを聞いて驚きました。

私は、陶磁器に詳しいわけではありませんが、
百貨店のウェッジウッドのコーナーで、その美しさと、クオリティ、
そしてそれに見合うだけ値段を見ながら、溜息をついたこともあります。

実は、このお正月も、とても素敵なティーセットが詰まった福袋を見ながら、
溜息をついていました…つまり、手は出せなかった、って話ですけど。

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さて、2009年にウェッジウッド社が創立250周年を迎えるのを記念し、
約250点の名品を集めたこの展覧会。

この兵庫陶芸美術館、我が家からのアクセスが良いとは言えず、
一人で車で出るのももったいないしなぁ、と思っていた所に、このニュース。

ウェッジウッドの名品を、こうして見られるのも、最後かも知れない、
チケットもあることだし、会期も迫ってるしと、両親と共に出かけてきました。

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ウェッジウッドの歴史は、1759年、
ジョサイア・ウェッジウッド 1世が工場を設立した時に始まります。

この展覧会では、ジョサイア・ウェッジウッド 1世の研究メモ、
焼成陶片が展示されているのですが、これがすごい。

温度、釉薬、材質、など様々な研究が行われていたことが見て取れます。
この試行錯誤と記録によって、経験と勘の世界の窓が開かれたのでしょう。

例え、それが門外不出の研究成果であっても、完成品のレシピがある限り、
代々に渡って、同じクオリティの「製品」を作り続けることが出来るわけです。

しかし、ウェッジウッドの歴史は、それに満足せず、更なる「美」を追求します。

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シャーロット英国王妃より「クイーンズ・ウェア」の名称を与えられた、
乳白色のクリームウェア。

  


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この美しさは、時のロシアでも賞賛され、女帝エカテリーナより、
ディナーサービスの注文を受けます。
その数、なんと944点! 手描きされた風景は1244にのぼります。

通常3年がかりと言われたこの注文を、ウェッジウッドは1年内で完成させます。
この「作品」は、普段はエルミタージュ美術館に所蔵されているそうです。

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対照的に、黒の美しい「ブラック・バサルト」。



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バサルト(玄武岩)をイメージしたこのシリーズの代表作が、
今回展示されている「初日の壷(First Day's Vase)」。

エルトリア工場開業初日を記念してジョサイア自身がろくろを回した作品。
6点作られ、現在、世界中で4点確認されているうちの1点です。

その希少性もさることながら、ギリシャの壷をイメージさせる質感と、
なにより端正なフォルムの美しさは、やはり素晴らしい。

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真っ青な地に、白いレリーフが装飾された「ジャスパー」。
カメオや壷等にも用いられ、ウェッジウッドのイメージシンボルともいえるシリーズ。


  


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展覧会では、様々なジャスパーを見る事が出来ますが、
何と言っても素晴らしかったのは「プリンス・オブ・ウェールズの壺」です。

ペールブルーの壷を支えるように並ぶ獅子と一角獣。
白のレリーフで美しく彩られた壷。その上鎮座する女神。
バランス、色彩、本当に美しい。

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さて、さらに「ファインボーンチャイナ」や現代の作品など、展覧会は続くのですが、
残念なのは、昔からの作品の方が、美しい、ということなんですよね…。

新しいものを取り入れて、より美しくなる、その伝統と歴史が、
新しいものを取り入れて、迷走しているように見えるのが、とても残念です。

いや、もちろん、新しくて素晴らしいものもあるのですけれども…。

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正直、これは、倒産を受けての「後出し」の話ではなく、
金沢の作家さんと組んだ、「和」のシリーズを見て感じた印象です。

金沢の作家さんの、現代アート的なセンスは、
それはそれで素晴らしいし、刺激的だと思います。

でも、あくまで「先鋭」であって、一般向けではない。

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「茶道」「華道」「書道」の3分野でシリーズが展開されるのですが、
どれも、シンプルさから離れ、大きさも、崩し方も、使い勝手が悪そう。
平たく言って、使ってみたい、と思わせてくれないのです。

機能美と遊びの融合が日本文化の華ならば、
これは、遊びに寄り過ぎで、とても使えない。

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では、飾ればよいのか?

飾るだけの道具なら、「茶道」「華道」「書道」の体裁は不要です。
むしろ、その体裁を取るのは冒涜でしょう。


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スタンダードなウェッジウッドの美しさは、テーブルウェアはもちろん、
装飾品にしても、「用の美」に通じる所があると思います。

映像で、まだ若いウェッジウッド当主が、しばらく前まで東京で働いていて、
ウェッジウッドによるティータイム講座などをプロデュースしていた映像が流れていました。
こういうのは、本当に良いなぁ、と思います。

お茶道具も、使ってこそ、活きるもの。
特別な日に、でも良いですから、使ってこその「テーブルウェア」だと思うのです。


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ウェッジウッド・ジャパンの公式HP(http://www.wedgwood.jp/)を確認したら、
ジャパンは引き続き営業され、本社も引き受け手を探しているとのことでした。

一時、アメリカ資本が、という話も出ていましたけど…。

本当は、と思うこともないではありませんけども、
こうなってしまった以上、どういう形であれ、
この「美」の歴史と伝統が受け継がれて欲しいな、と思います。

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『創立250周年記念 ウェッジウッド -ヨーロッパ陶磁器デザインの歴史-』

  @兵庫陶芸美術館 (兵庫・篠山(ささやま))

[会期]2008.10/08(水)~2009.01/12(祝・月)
[開館]10:00-19:00
[料金] 一般 1,000円 / 大学生・高校生 800円 / 小中学生 500円

  展覧会 : http://www.asahi.com/wedgwood/index.html
  ウェッジウッド社 : http://www.wedgwood.jp/#/whats_new/


作者:
 ジョサイア・ウェッジウッド [Josiah Wedgwood] (1730-1795) wiki
 スージー・クーパー [Susie Cooper] (1902-1995)

※ 横浜への巡回は終わりましたが、まだいろいろと巡回するようなので、
  展覧会のHPをチェックしてみて下さい





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Last updated  March 14, 2009 02:30:23 AM
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mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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