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「フィルム装填を終えたら、フィルムカウンターが1を指すまで空写しをします。親指で巻上げレバーを引出して巻上げ…」
ちょっと昔の一眼レフの取扱説明書には、必ずこのようなくだりがありました。モータードライブを装着しない限りフィルムの巻上げは撮影者自身が1コマずつ行うわけです。今回はこの巻上げについてのお話です。 当初の一眼レフは外装部材にプラスチックは全くと言っていいほど使われておらず、金属の塊のようなものでした。Nikon Fの巻上げレバーも当然金属製で、しかも指の当たる部分には滑り止めのギザギザが刻まれており、親指の皮が剥けてしまうという訴えが少なからずあったようです。Nikon F2では巻上げレバーにプラスチック製の指当てが付けられましたが、これが好評だったようで、F2発売後ほどなくしてFをマイナーチェンジした際、Fにも同様の指当てが付けられました(これがFの最後期型で、中古市場でNew Fと呼ばれます)。因みにNikon F2と同じ年に発売されたCanon F-1も当初は巻上げレバーにプラスチック製の指当てはなく、5年後の昭和51年のマイナーチェンジで付けられました(こちらはF-1NまたはF-1後期と呼ばれます)。 尤も、巻上げの際、指が痛くなければいいというわけではなく、操作性が重要な事は謂うまでもありません。巻上げ角は小さいほど操作性が良いとされるのが通常ですが、この点について比べてみると、Fでは133°、F2では120°となっています。一方F-1はマイナーチェンジ前が180°、後が139°です。 F-1ではプロの要望に応え、マイナーチェンジであるにも関わらず、巻上げ角を小さくするという設計変更を実行した事に驚きます。巻上げ角が変われば巻上げトルクも当然変わります。モータードライブとの相性を考えれば難しい調整を要したであろう事は想像に難くありません。Fのモータードライブ装着では“このカメラとこのモータードライブ”といった改造に近い現品調整が必要でしたが、F-1はF2同様、無調整でのモータードライブ装着となっていましたから尚更です。 プロはともかく一般のユーザーは操作性より操作感を重視する場合も多いかと思います。好みの分かれるところでしょうが、巻上げレバーの操作感という点では、Nikon F3やminolta XEが高く評価されているようです。特にXEはそのシャッターボタンの感触やシャッターの作動音を好まれる方も多く、さすがはLEICA R3の母体機とされただけの事はあるなどと言われたりもします。 XEには触れた事のない私としては、F3とF-1の操作感が好みなのですが、New Fでのフィルム巻上げこそ最高と密かに信じています。Fの巻上げ操作感を褒めた記事は未だに見掛けた事がありませんし、レバーの組み付け自体、上下方向にやや遊びがあり、精密感に欠けるのですが、過日の日記で既述の通り、実用性などという理由でF2の方を選んでしまってFに申し訳ないという、Fへの思いのなせる業かもしれません。 今ではデジカメはもちろんフィルムカメラであっても巻上げレバーを備える機種は珍しくなりました。遠からず巻上げレバーはカメラ用語としても死語になってしまうのでしょう。私のFへの偏愛はいや増すばかりのようです。 ミノルタXEが楽天内で見つかりました。驚きです。因みにXEの発売は昭和49年です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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