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かりん御殿

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January 14, 2004
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カテゴリ:旧(身内話)
子供の誕生日は母親にとっても誕生日だ。
長男の誕生日には母としての私が誕生し
次男の誕生日には二人の子供の母としての私が誕生した。
そんな理由で、子供達の誕生日には
私にもプレゼントを買う事にしている。
ちなみに可哀相だが父としてのウザヲの誕生は数に入らない。
「No pain, no gain(痛み無くして収穫無し)」なのだ。

さて、二度目の妊娠・出産は、一度目と全く違う。
私の場合
一度目の時はウザヲと義理家族の「女王状態」だったのが
二度目の時は長男の「奴隷状態」だった。

一度目の時に心配し気を遣った事も
二度目の時には気にしている余裕さえなかった。
それでも、一度目同様つわりは殆ど無く
糖尿病の検査で、半日空腹で過ごした上、
プチプチと6回も下手っぴぃな注射で採血された両腕が
真っ青に腫れた以外は順調で楽な妊娠期間だった。


日本では一度目が帝王切開だと
二度目も帝王切開にする事が多いらしいが英国は違う。
母体に原因がある場合は帝王切開だが
胎児に原因があって前回帝王切開になった場合は
二回目は自然出産を勧められる。
(本人が強く希望すれば帝王切開を選べるらしい。)
37歳で胎児が逆子だったのにもかかわらず
私は自然分娩を勧められた。
帝王切開の後の痛みはこりごりだったので
私自身も今度は自然分娩&麻酔で楽してやるっと思った。

長男の時の様に予定日を過ぎたら嫌だな~と思っていたら
予定より一週間早くに陣痛が来た。
ちょうど、その日は、一週間に一回の診察の日で
陣痛をこらえながらウザヲ、長男、私と3人で
地元の診療所に行くと、陣痛が始まったばかりなのに
前回帝王切開の場合、高リスクグループに入るので
そのまま総合病院の産科に行き入院する様に言われた。

一度家に戻って荷物をまとめ病院に着くと
運良く個室が与えられた。
4歳の長男も一緒にいたのでNHSで個室が開いていなかったら
別料金(一泊2~300ポンドらしい)を払ってでも
個室を頼もうかと考えていたので非常に嬉しかった。
病院側の説明では分娩も、この部屋で行えるらしい。

英国では、産婦が「こういうお産にしてほしい」という
希望・計画(Birth Plan)を文書にして持ち込む事が多い。
普通は、「某種の麻酔は使用しないでほしい..」
「赤ちゃんが生まれたらすぐ母乳を飲ませたい...」等、
どちらかと言えば「真面目にお産に取り組んでいる人」が
「真面目な希望」を書くものなのだが、私の希望は

まず第一に「麻酔は何でも最大限に使ってほしい。」

第二に「問題が無ければ出産後6時間で退院したい。」
(↑出産後、最低6時間は病院で経過観察する決まりがある)

第三に「分娩時を除いて夫と子供と同じ部屋にいたい。」だった。

全て許可された。
実際の分娩の場は、4歳の子供には衝撃が強すぎると助言され
私自身もそう思ったので分娩の前にウザヲが長男を連れて
分娩室を出て専門の待合室で待機する事にした。
こうして段取りを確認した後
子宮口を確認すると1cm半開いているとの事。
徐々に痛くなってきたので
「麻酔は打ってもらえるんでしょうねぇ」と聞くと

なんと

「子宮口が4cm以上開くまで打てません」と答えるではないか。

「は、話が違うじゃんよ~~っっ??」と心中怒りながらも冷静に
「えっ、最初から打つんじゃないんですかっ??」
と聞くと
「麻酔を使うと子宮口が開かなくなる事があるから...」
と答える。
「じゃ、子宮口の検査はどれくらい頻繁にしてもらえるんですか?」
と怒りをこらえながら聞くと
「2時間おきくらいには来るから大丈夫ですよ。」

って、二時間って、じゃ、あと、二時間は
麻酔なしかよっっっ???????
大丈夫って....笑顔で言われても...許せねぇぇぇぇ~っっっ。

怒りでコメカミがピキピキしている私に気がついたのか
助産婦さんは
「麻酔の他に笑気ガスとかあるから使ってみますか?」
と提案する。
「もう何でもいいから早く持って来んか~~いっ」
と心の中で叫びながら表面上は笑顔で承諾した。

でも、この笑顔のせいで
「まだ余裕あるわね」と誤解されたのか
ただ単にNHS的な「慢性的ノロさ」のせいか
この笑気ガスが来るまでには、かなりの時間がかかった。

しかも、これ、全然使えない。
頭が瞬間ボ~っとなるだけで痛みは全く緩和されないのだ。

この頃、ウザヲは、私が大きなクッションを抱えて
うめきながらうずくまるベッド脇にへばりつきオロオロし
長男は、おりこうな事に椅子に座り静かにオモチャで遊んでいた。
(次男だったら、決してこうは行かなかっただろう。)

ついに我慢できなくなったのでウザヲに
助産婦さんを呼びに行かせた。
問答の末、前回帝王切開でもあるし高齢でもあるので
例外的に麻酔を打つ事にしましょうと言われ
子宮口をはかったら、

既に5cm半だった....

(バカヤロ~っっっ)
(とっくの昔にクリアしてたじゃんか~っっっ)

それから、また、しばらくして(とほほほ....)
麻酔科の医師が来た。
脊髄(だと思う。忘れた...)に注射をする。

ウザヲの話では、
注射器を抜き取った瞬間(か注射器の中に逆流か忘れたが)
「血がブシュ~~っと勢いよく噴き出したのだそうだ。」
麻酔医師と助産婦が部屋を出ていったと思ったら
点滴を付けられている私の手が勢いよく下へ引っ張られた。

ウザヲがガッチリ握っているのだ。
点滴のチューブまで引っ張られて痛い。

「何やってんのよぉぉぉっっ。引っ張んないでよぉっ!!」

と怒鳴りつけると(怒鳴ってばかりで出産後は喉がかれていた)...

...長男が大声で泣き始めた。

「ママぁ~っ、パパが、パパが死んじゃったよぉぉぉぉっ!!」

「ん?」と、ふと、目を開けると

ウザヲは私の手を握ったまま、床に倒れていた......。

ウザヲは血に弱いのだ。

医師と助産婦がいた時は我慢していたらしいが
ついにこらえきらなくなって貧血を起こしたらしい。

「しょうがないな~。どうすりゃいいんだよぉ~。」と
思いながら、硬直したウザヲの手を無理矢理振り払うと
その手が床に当たって痛かったのか
横たわるウザヲの横で号泣する長男の声のせいか

ウザヲは目をさましフラフラと立ち上がり椅子にこしかけ
「ちょっと気持悪いな~」と何気なく言った。

そして
「あんた、今、気絶してたんだよ。」と私が言うと
なんと
「え~っ。気絶してた~っ??」と驚くではないか。

自分で床から起き上がって椅子に腰掛けたのに
それさえも気付いていなかったのだ。
本人は、ず~っと椅子に坐って
貧血をこらえている「つもり」だったらしい。
しかも、私の言葉を信用しないで長男にまで聞く。
「パパ、いま、ここに倒れてた?」
長男は涙のたまった目で
「あっくん、パパ死んだと思ったんだよっ。ふざけないでよっ。」
と怒った。
その後、長男は、こんな顛末に疲れたのか
怒ったまま椅子の上でフテ寝を始め、
いつのまにか熟睡していたのだった...。

一方、お産の方は、麻酔を打つと進行が遅くなる、という懸念に反し
どんどん進み、ついに分娩間近になった。

だが、だが、
ここで麻酔が切れてしまったのだ。

(何の為の麻酔なんだか......)

しばらく陣痛から解放され「楽勝~」気分だったのに
一挙に「爆発的陣痛」が襲って来た。
しかも、麻酔が効いたままだと、うまく「いきめない」から
麻酔剤の追加無しに、このまま生みましょう、と言われる。

うそだろ~。

「私は、高リスクなんだっっ。なんとかしてくれ~っ」と
「前回の帝王切開」をふりかざし
助産婦さんに怒鳴ると(この段階では全て怒鳴り声になっていた)
医師を呼びに行き、二人で何やら相談していたが
(相談してないで、早く麻酔追加しろ~~~っ)
おもむろに麻酔の追加を承諾してくれた。
この時こそ、前回、帝王切開にして良かったと思った事はない。
帝王切開後の痛みと苦しみが瞬時に帳消しになった。


今度は、麻酔医師は、即座に現われ
点滴の中に麻酔を追加し
痛みは嘘の様に消えたとたん
すぐにいきめる状態になった。
ウザヲは
母親が痛みで咆哮している間も熟睡していた長男を抱きかかえ
慌ててと分娩室を後にした。

だけど、いきみ方がわからない。

便秘で苦しむ人がトイレでいきむのと同じ方法らしい....

...が、私は、幸か不幸か便秘になった事が無い。

結局、何回か、いきんだ後
吸引分娩となった。
この間、麻酔が効いていたので
生まれた瞬間もわからなかった。

「赤ちゃんが生まれた瞬間、女で幸せだったと感動した」

というセリフを聞いた事が何回かあるが
私の場合、二回とも、その瞬間は逃したようだ。
(とほほほほほほ。)


助産婦さんが、赤ちゃんの顔を見せてくれる。

「菅井きん」そっくり.....。

なのに、お医者さんも助産婦さんも
「なんて美しい男の子の赤ちゃんっ」と絶賛してくれた。
ま、誰にでも、そう言うんだろうが
赤ちゃんの顔を覗き込む助産婦さんは
心底、そう思っている様な表情だった。

さて、呼ばれて来た小児科の先生が
嬉しそうに次男を抱っこし次男の体重をはかったり
新生児の反応テストをすませ分娩室を立ち去りして
一息ついたと思った瞬間、
助産婦さんがハっとした顔で叫んだ。

「あっ、ご主人の事、すっかり忘れてたわ~~!!」

本来は、生まれたら、すぐに呼びに行くものらしい。
助産婦さんは、あわてて、ウザヲと長男を探しに行き
やっと、そろって「ご対面~」となった。

...と感動したのもつかの間、私達は、即座に
豪華(じゃないが居心地の良かった)個室から
騒がしい産科の大部屋に移されてしまった....。

それにしても病院というのは、どうして、いつも
ああ騒々しいのだろうか?
治る病気も悪化するんじゃないかと思う。
そんな訳で、私が、やっと、ゆっくり休めたのは
6時間後で無事退院し、家に戻って来てからであった。
ふぅ。


こうして麻酔付き自然(というか吸引)分娩を経験し
帝王切開と比べて痛感したのは、とにかく産後が楽な事だ。
出産当日に即、歩き回れる様になったし
退院後、東京や上海の家族や友人に電話をかけまくる
活力もたっぷり残っていた。
母乳も順調に始められた。
前回のお産で湧いた怒りが、やっと晴れた気がした。


だが、病院嫌いの母が、そそくさと病院を逃げ出したのに
その5日後、保健婦から黄疸を疑われた次男は
同じ病院の小児病棟へ逆戻りとなってしまったのであった。
その後の経過は昨日の日記に書いた通りである。
とほほほほほほ。

人生、塞翁が馬.......

とは、ちと違う様な......?

ま、ともかく、生まれて良かった....。





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Last updated  August 28, 2004 01:39:31 AM
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