2007/12/23(日)16:30
スクリューキャップのワイン
スクリューキャップのワインというと、国産ワインでは結構以前から存在していたが、
海外のワインではなかなかお目にかかることが無かった。
それが最近になって、わりと出回るようになってきた。
特に多いのが、オーストラリア、ニュージーランドといった、オセアニア地域のワインで、
特にデイリー用のリーズナブルなものだと、その比率は年々高くなってきている。
そしてスクリューキャップのワインが出回るようになると、それを正当化するかのように、
スクリューキャップの利点をアピールするような記述が、メディアなどで見られるようになって来た。
曰く、コルクの場合だと、コルクの劣化に伴う「コルク臭」(専門用語ではこれを『ブショネ』と呼ぶ)
が一定の確率で発生することが避けられないが、
スクリューキャップにすることで、少なくともそれを回避することが出来る、というものだ。
またコルクのワインは立てて保管していると、コルクが乾いて空気の通りが良くなるので酸化し易いが、
スクリューキャップだと立てて保管しても何ら問題は無い、ということも言われている。
なるほどいずれも理に適っている。
しかしこと国産ワインにおいては、スクリューキャップなどずっと前から普及している。
だから今挙げたことは、いまさらワインでスクリューキャップを導入するに当たっての、
説得力のある要因にはならないではないか。
となると、今までワインにコルクを使用していた背景には、コルクでなければならなかった必然性があるはずなのだが、
不思議なことにどこを見ても、コルクの正当性について説明したメディアはあまり見当たらない。
あくまでも私の理解の範囲内で言わせてもらえば、ワインの熟成には多少の酸素が必要なのだ。
だからまったくの密閉状態よりも、コルクの隙間をわずかな酸素が行き来する状態が、
熟成を必要とするワインには理想的だということだ。
だからそれなりのステイタスを持った偉大なワインには、今後もスクリューキャップが使用されることはまず無いだろうし、
逆にすぐに飲まれるようなデイリー用の安いワインなら、
ヨーロッパの国々の中でも今後はスクリューキャップが席巻することになるかもしれない
(その前に、従来のコルク素材とは違った新素材のコルクが、既に登場してはいるが)。
ただ私が個人的に飲む分には、スクリューキャップよりもコルクの方がいい。
ブショネのリスクはあっても確率的には低いし
(実際今までに自分が開けたワインにブショネが混じっていたことは皆無なのだ)、
何よりも私はあのコルクの質感が好きなのだ。
私は今まで飲んできたワインのコルクはほとんど取っておいてあって、幾つかの箱に詰められているのだが、
そんなコルクの詰まった箱を取り出してはフタを開け、
コレクション(というほどのものではないが)を眺めていると、そこはかとなくシアワセな気分に浸ることができる。
スクリューキャップ全盛になってしまうと、こうしたシアワセを享受できなくなってしまうのが、どうもイヤなのだ。