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2004/09/19
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ピアノを習っていた頃、先生にまず注意されたのは手の形だった。いわく「卵を軽く握るのようなつもりで‥‥」。
確かに、指を立てることで鍵盤を強くたたくことが出来るし、親指を潜らすときもスムーズだ。この手の形は理にかなっており、今も昔も変わらない真理のように思うのだが‥‥、ショパンは違っていたらしい。

ショパンは、弟子のクレッチンスキに「手の形について」次のように語ったという。
「タッチと音は手の位置にかかってくる、そして鍵盤は指先でたたくものではなくて、指の腹か、肉の付いた部分で打つべきものである。指は鍵盤の上に平たく置くべきで、まるい形になってはいけない。この目的のためには、ニ長調のスケールがもっとも適当である。」

もちろんこれを否定する証言もある。
同じくショパンの弟子として有名なデュポア夫人は、「ショパン自身そんなに手を平らにしていなかった」と強く否定している。
果たしてどちらの証言が真実か。答えはショパンの手の石膏型(図1)を見れば分かるように思う。

ショパンの手 図1

写真なので比べようがないが、ショパンの手は比較的小さかったと言われている。この石膏型を見ると、練習の為か関節が大きく突起し、指先の腹は明らかに扁平しているのがわかる(図2)。手をまるくした練習では、こういう形にはならないだろう。ショパンは明らかに手を平らにしてピアノを弾いていたとしか考えられないのではないか?

ショパンの手 図2

ならば、ショパンはなぜ手を平らにしてピアノを弾いたのか?
ホルクマン著「ショパンの遺産」には、こんな記述がある。
「水平な指の位置は、レガティシモを弾きやすくして、繊細なニュアンスを出すにはなかなか助けとなるものである。しかし、このような手の位置は、クレッショエンドやフォルティシモには適さないだろう。そしてことに速いテンポで親指をくぐらせるには、それは全然うまくゆきそうもない。」

ショパンの手の形は、彼の音楽、そして肉体的特徴と決して無関係でなかった。
評伝を読むと、ショパンは肉体的に華奢だったため、ピアノを演奏する際、大きな音がだせなかったことが必ず書かれている。
普通のピアニストのダイナミックの幅は、フォルテシモからピアニシモの間にあるが、ショパンの幅はそれより狭かった。そのピアニストとしての肉体的、技術的欠陥を補うため、ショパンはメゾフォルテとピアニシモの間のダイナミックの幅を完璧にコンロールできるように訓練したと言われている。一方で彼は左ペダルをほとんど使わなかった。これはその鈍い効果が不自然だと考えたからだという。(当時のピアノの構造的な問題か?)

ショパンが、左ペダルを使わずに弱音を思いのままにコントールするためには、水平な指の位置が必要だったということだろうか?

当時のある評論家は『ショパンはピアノとピアニシモの間の濃淡を百も出すことができる』と賞賛したという。この言葉を聞いたショパンはたいそう喜んだらしいが、自らのピアノ演奏に心から満足していたわけではない。ショパンは友人であり同時代の大ピアニストであったリストの演奏を軽蔑しつつ、その力強く豊かな音量を常に恨ましがったと言われる。
リストのこんな証言がある。

「ショパンは健康的にあまりに脆弱であり、そのため作品を書くということによってその負い目を埋め合わそうとした。彼はそれらと作品が力をこめて演奏されるのを聴きたいと思ったが、彼自身にはそのような力に欠けていた。」

もしショパンが現代最高のコンサートグランドで現代のピアニストの弾く自身の作品を聴いたら、どんな感想をもらすだろうか?
逆に私のような音楽ファンならば、ショパン愛用のプレイエルピアノで「彼の百のピアニシモ」を一度聴いてみたいと誰しも思うだろう。

★注意:素人の推測の部分もありますので、誤解などがあればどうぞ指摘してください。

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◆参考資料
「ショパンの遺産」ホルクマン著 野村千枝訳(音楽之友社)
「ショパン」アルフレッド・コルトー著 川上徹太郎訳(新潮社)

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Last updated  2004/09/19 11:05:21 PM
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