カテゴリ:イギリス
前にもどこかの日記でちらっと書いたことがあるが、私は関西弁と標準語がちゃんとスイッチできる。(と思っている。)
仕事柄、標準語アクセントが基本的に必要とされてしまうからそうなったのではなくて、ものごころついた時からそうだった。 これができて楽しいのはやっぱり、息詰まる会議の時や、営業の時だ。 ずーっとずーっと眉間に皺を寄せて話すような題材が続いたり、粘りに粘って「ウチに決めて下さい」式の話の合間に、わざとちょっとだけ関西弁を入れておくと、そこで空気が変わるのがわかる。 初対面の人はだいたい必ずその後で「関西・・・の方でしたか?」と聞くが、それまでは特にそういう意識はなかったらしい。 人と話していて(それも仕事関係の場合)後で「ええと、どんな人だったっけ?」と言われたら先がなくなるので、私の場合はこんなふうに、よく言えば簡単、悪く言えば姑息な(笑)手段で「ツカミ」にはいる。 これと同じような区別は、実は英語の時にもついているらしい。 親にそういう名前をつけてもらったからか、耳がいいような気がするのは確かだ。 いわゆる絶対音感なので(この間、あゆなさんにもらった絶対音感テストは満点でした)好きな曲を聴けばすぐに音はとれるし、一瞬芸でモノマネも得意だ。 日本でラジオやカセットを聴いて英語を独学したら、日本で出回っている教材自体にアメリカ英語が採用されていることが多いという理由で、自分が話すのも聴くのもアメリカの語彙や発音が主体になってしまっていた。 その時には他の英語があることをそんなによくわかっていないから、関西弁と同じように、いわば、そのアメリカ英語が自分にとっての「すりこみ」になってしまったのだ。 それがために、最初にイギリスで前の会社にはいった時は、話しかけられても一度ではなかなか内容が理解できずに恥ずかしいくらい聞き返すことが多く、自信喪失した。 テレビを見てもわからないから、ぜんぜんおもしろくないし、だいいちイギリスの気取った発音というのがキライだったので(今は慣れたが好きだという意識はない)よけい見なくなる。 そのうちにダンナと結婚して一緒に住むようになってから、苦し紛れにダンナ相手に英語の練習をしてみたことがあったが、そんなものが長続きするわけがない。 テレビでドラマを見ていても、ダンナは、発音も自分にとって聴き慣れたものである上に、その中で話されている状況や、その下にある文化の構造をわかっているから理解できるのに、私にはさっぱりなんのことかわからず、ダンナがテレビをつけるたびに私はPCに向かうか他のことをするかで、まったく興味を持てなくなった。 しかし、である。 テレビで映画を見ていると、その映画がアメリカの映画である限り、その中の言葉をより理解しているのは私のほうだった。 ダンナに「今の、わかった?」と聞くと、私がわかったほどにはダンナはわかっていないらしいという状態が何度かあることに気づき始める。 ダンナはイギリスに来た時は英語自体をまったく話せずに来たところから英語の習得が始まったので、ダンナにしてみるとアメリカの英語は聴き慣れないものなのだ。 イギリスに住むようになってから、一度だけニューヨークに行った。 ホテルのフロントの人やなんかと話す時、ダンナが話すと聞き返されることが何度かあり、そこでもう一度、同じことを私が言うと「ああ、それでっか」という感じでわかってもらえることがあった。 ニューヨークはロンドンと同じで、いろんな国の人たちがいるから「東海岸独特の」というようなきついアクセントがあるわけではなかったのだが、たぶん私が話す言葉のほうがあちらの感覚に近かったのだろうと思う。 今も仕事で英語を話す時、結構お高くとまっている上の人たちが出席する会議の時にはベタベタのアメリカの発音を出さないように気をつけているつもりだが、アメリカ人のサンドラから電話がかかって来ると、自分もサンドラにつられて同じような話し方になってしまうのがわかる。 これは話し方だけではなくて、単語の表記もそうなのだが、メールもイギリス人の時とアメリカ人の時とで単語も書き分ける。 この間、アメリカ在住のカロリさんが「イギリスの発音にクラっとする人が多い」と書き込んで下さったのを読んだが、それは他のところでも聞いたことがあるし、どうも実際、そうらしいとは思うが、やっぱり私にはイギリスの英語を話そうというふうには割り切れないところがある。(笑) 「私にはわかりません」という場合に、アメリカ英語なら、カナでできるだけ近く表記すると「アイ・ケァント・アンダステァーンド」だと思うが、イギリス英語だと「アイ・カーント・アンダスターンド」になる。 しかし、私はこの「アイ・カーント」が絶対に出てこないどころか、これを聴くたびに固まってしまうのだ。 ダンナやうちの同僚が「アイ・カーント」と言っているのは毎日のことなのだが、これが私にはどうにもこうにもかゆくてかゆくて、じんましんが出そうな気がする。 しかし、もともとは相手につられてしまうタイプなので、今は自分だけがあまりにアメリカっぽい発音で浮いてしまう勇気がなく、ヘンなイギリス英語もどきの話し方になってしまって不本意なのだが、それでも「私は・・・できない」だけは 「アイ・ケァント」 なのでございます。 P.S.人につられやすいと言えば、イタリア人と英語で話している時には自分まで相手と同じようになまってしまうし、ドイツ人と英語で話していると「ドイツ人が話している英語」みたいになっているのがすごくおかしい。 私たちの電話はすべて機材で録音してあるので、時々、自分が話しているのを聴いてみるとそれがよくわかる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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