カテゴリ:テレビ
そして今日はその「ハマりDVD」の第2弾なんですが・・・
うーん、書きづらいなぁ。 これがまだ昨日のスタハチ程度なら「おっ、見た見た」という人もあれば(希望)オリジナルのスタハチのドラマ編を昔見ていたという人もありそうだし、場合によったら「見てみよう」という奇特な人もいるかもしれない。 しかし今日のは、誰がどー考えても「見よう」とも思わないだろうし、また、実際に見たくても見る機会がない物理的事情に阻まれそうな一作。 BBC製作のコメディ「Extras」 せっかくだから、こんな感じってことで紹介だけしておこう。 これを作ったのは、以前からずーーーっと紹介し続けている「The Office」を共作したリッキー・ジャヴェイスとスティーヴン・マーチャントのコンビ。 この「Extras」も「The Office」と同じで、1回が30分のごく短いコメディ。 しかし、今度の「Extras」が「The Office」とは完全に異質な部分が2つ。 1つめ。 見事、前作の「The Office」で脚光を浴びたリッキー・ジャヴェイスは、自分自身の作るコメディにハリウッドの大物を引っ張り出してきた。 6つのうち、世界レベルで有名なスターは4人。 ベン・スティラー(出たぁ~っ)、ケイト・ウィンスレット(タイタニック)、パトリック・スチュアート(スタートレック)、そしてサミュエル・L・ジャクソン。 サミュエル・L・ジャクソンなんかは、自分の出る場面を取るためにアメリカからイギリスに飛んできて、たった1日で撮影を終えてとんぼ返りしたらしい。 2つめに異質な部分。 それは「The Office」はイギリスでの会社の風景を、誰にも身近にあるような出来事でうまく捉えていて、中身によっては日本でも「あるある、そういうこと」とか「おるおる、こんなオッサン」と言わせるようなドキュメンタリー風ドラマだったのが、この「Extras」は、売れる役者を夢見ながらも来る役はエキストラばっかりでちっとも芽が出ない中年の男と、似たり寄ったりの女友達を描いた、極めて非日常な背景のドラマなのである。 前作の「The Office」に続き、主役を務めるリッキー・ジャヴェイス、役名はアンディ。 これは現実の彼自身がそうなのか、そういう世間の風潮をしつこく皮肉っているのかはわからないが、大声では言わないゲイ+有色人種+障害者嫌いがせりふの一つずつから漂ってくる。 このアンディと、つかず離れずで毎日撮影現場に同じくエキストラとして現れては、そこに集まっているイケメンの役者をなんとかモノにしてステディな関係になりたくてしかたがない女友達のマギー。 アンディとマギーの間には男女の関係はなく、単なる腐れ縁的に気心の知れた友達同士。 アンディは偏った差別的思考を密かに託ちながら、自分で大きな声ではそんな主張はしない。 自分にせりふやいい役をくれそうなチャンスそのもののプロデューサーやスタッフを360度探す嗅覚を駆使する一方で、差別主義・無知がバレないだけの注意を払っている。 小賢しさいっぱいのアンディは、毎日ほぼ一緒に行動しているマギーにだけは自分の思う何もかもを忌憚なく言葉にするが、悲しいかなマギーはオツムがちょっと弱い。 人前で口にすれば絶対にヤバいアンディの発言を毎日聞かされる立場のマギーは、アンディの言葉に混乱させられ、自分が目をつけたイケメンたちの前で信じられないような失言を繰り返しては、せっかくいい雰囲気になった相手とサヨナラ。 このマギー役のアシュレイ・ジェンセンはものすごい。 さすがはリッキー・ジャヴェイスがこのドラマのために見つけてきた「あまり知られていない」役者だ。 マギー自身は普段、心にも思わないような差別発言は、軽妙で人を引っ掛け易いアンディの語り口がもとで簡単にマギーの頭の中に浸透してしまう。 それらの言葉が、不必要なところでマギーの口からばんばん出てきて、周りの人を呆然とさせる場面が毎回あるが、このマギーのアホさは、普通のアホを超越している。 マギー役のアシュレイ・ジェンセンのそういうシーンの役作りを見ていると、この人自身が実はホンマに限りなくアホなんちゃうかと錯覚を起こしそうになる・・・というか、結局はそこまで演技が徹底して巧いのだと思うが、大人になって本当にここまでアホだったら私なら消えてなくなりたいと思うほど、彼女のアホぶりは徹底していて、そのレベルはすでに芸術の域に達していると思えるほどだ。 この6回の「Extras」に出てきたハリウッド級スター4人+イギリスのスター2人。 名声や格好を気にする人なら、出演の打診を断るのではないかと思うような役柄で出演しているところが、この6人の度量の大きな部分なのだろうと思う。 特にケイト・ウィンスレットの役柄はひどい。(爆) それこそ「タイタニック」のあのケイト・ウィンスレットが?というような設定で、タバコを吸いながら、とんでもないビッチの役を演じる。 まあ彼女はイギリス人だから、このリッキー・ジャヴェイスが描きたい、イギリス流のちょっと陰険と取れてもおかしくない笑いの本質というものがもともと肌にしっかり染み付いていて出演をOKしたのかもしれない。 この「Extras」は一昨年に一度6本全部の放送が終わり、今、ちょうど再放送の真っ最中だが、最初の放送の段階ですでに次のシリーズの企画が同時に進んでいて、出演してくれる大物への交渉が着々と進んでいる、というような報道がされていた。 最初は「The Office」と比べると、笑うところの少ない、よくわからないコメディだなぁと思っていたが、やっぱりこの「Extras」も、見た人全員がおもしろいとは言わなさそうなところに急にハマってしまったのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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