カテゴリ:苦情・ケンカ
相性がいい組み合わせ、というものは、だいたいどういう局面があっても、やっぱり最終的には最悪の事態や決裂の場面にはならないのかもしれない。
人間同士もそうだろうし、好きなお店だったり好きな服だったり、とにかく何か「コレとは必ずばっちり(死語?)イケる」という気持ちにさせてくれる対象というものは、身の回りにいくつか必ずあるのではないかと思ってしまう。 今、遡ってこの日記を読んでみたら(私の中では)極めて中途半端に終わっていた。 最初にチチキトクの電話が朝4時頃にはいってきて飛び起き、いちばん早く実家に着ける便を探したら、やはりKLMでロンドン~アムステルダム~大阪ルートになった。 あまりにも急な予約なので、背に腹は代えられずビジネスクラスのチケットを朝4時半にネットで買って7時半に家を出たこの日、往路でひどい目にあったことを書いたのが尻切れトンボになっていた。 要するにこの日、どんなことが起きたかというと ●ロンドン~アムステルダムのヨーロッパ内便が1時間ほど遅れることになったのでヒースロー空港のKLM職員に「絶対にオーサカに行かなあかんねん」と言うと「長距離便も合わせて遅れるから大丈夫」と言われたのに、アムステルダムに着いたら大阪行きは定刻出発していた。 ●その日の遅延トラブルに巻き込まれた長蛇の列の乗継カウンターでアムステルダム~ソウル~大阪のエコノミークラスの搭乗券を渡されて大憤慨。 「アナタの予約はビジネスクラスなんかじゃなかったわよ」と言われ、証拠を見せろというとアメリカ行きの男性の記録のコピーを見せて「ほら」だと。アホか~~~。 私が突っ込むと係員はうろたえ、「あっ違った違った。代替便のビジネスクラスは満席なのよ~」と。(ちゃんと調べろ) さらにねじ込んだところ「じゃあゲートの職員に聞いてみて。キャンセルが出てるかもしれないから」と追撃を避ける係員→キャンセルなんか出てなかったっちうねん ●しぶしぶ機内に乗り込むと、なぜか1つ空けた隣りの男性、もともとビジネスクラスだったらしいが、お連れを見つけたかでエコノミークラスに鎮座。 その日の遅延トラブルで、機内の乗務員も右往左往する中、パーサーがその男性に「ビジネスクラスの4C、あなたのでしょ?座らないの?」と聞くと男性は「うん、もういいんだ」と答えた。 それを聞き逃さず「座らせてよ、最初から私はビジネスクラスのチケット買ったんだし、とても疲れているんだから」とそのパーサーに主張すると、底意地が悪かったとしか思えないその女「ダメよ、今日はそんな人でいーっぱいなんだから」 ●いかにもにくたらしいそいつに力負けし、エコノミークラスをすごすごと乗り継いでソウル→関空に着くと「KLMのお客様はお申し出下さい。お荷物が着いていないかもしれません」ですと。 係員に名前を言いに行くと「実は2通りのお客様がおられまして、荷物がどこにあるかという情報のはいっている方と、情報がはいっていない方と・・・ちゃと様は・・・あいにく情報ははいっていません」(実際のところ、情報がはいっていても「荷物は明日しかつきません」という情報なのでたいして違いはない) ここまでくるともう文句を言う気もしないし、だいたいここの関空の係員がトラブルを引き起こしているわけではないことはわかっているので、黙って手続きをした。 そういう顛末で、本当はその日のお昼過ぎには京都の実家に着いていたはずが、実際に家に辿り着いたのは夜の9時。 私は怒りに打ち震え、とにかく自分が被った(しかも自分の人生の非常事態に)大迷惑を書き連ね、往路分の返金を要求しようと思い、時間のある時に苦情の下書きを8割ほど書きかけていたが、実はそれがつい最近までそのままになっていた。 はっきり言うと、苦情を書くというのは簡単なことではない。 とにかく相手を詰めて詰めて詰め切りたいために、きちっと筋道を立てて書きながらも怒りのトーンは落とさずに伝えたいし、何より今回は結構大きな差額返金という大事な結果を出さなければ、だ。 そのためには、できるだけ憤怒が持続している間にそれを書き上げて出すべきだったが、苦情を書くというのもうれしいものではない上に、やっぱりそれを書いているうちに、移動途中で父のことがずーっと頭から離れなかったもどかしい時間のことを思い出してしまって、余計に疲れて混乱してきて、いつも途中でやめたり先送りしたりしてきたのだ。 その苦情の手紙をやっと先週の週末に完成させ、KLMのHPの定型フォームにコピペして出した。 その返事が昨日返ってきたのだが、私はそのお詫びの手紙を読んで、やっぱりKLMという会社は自分にとっては相性がいい航空会社なのだと思わざるを得なかった。 下書きは私はWordで書いていてA4で3枚くらい怒っていた内容が、HPの定型にコピペすると改行も何もないものすごく見にくい文面になってしまったのに、KLMからのお詫びは、私の怒りの各ポイントに対して一つずつ「ここの部分はこうだった(だから仕方なかったor配慮が足りなかった)」「そんな目に遭わせてしまってごめんね」ともれのないように書いてくれた後、最後に「このことでKLMに対してずーっと立腹し続けていてほしくないので、なんとかこの苦情のやり取りを機に気分を一新してこれからも利用してもらいたい」とえらくストレートに書かれているのも気に入った。 以前、日系の他の航空会社にも苦情をしたことがあったが、さすが日系の航空会社は慇懃無礼な言葉を書いてくれるが中身のツッコミが足りないわりに、具体的なゴメンナサイ部分だけが定期的な語彙数ごとに繰り返されたお詫び状ばかりで「ホンマにわかってるんかー?」と言いたくなった。 そこへいくと今回のKLMのお詫び状には回りくどい言い方もなく押さえどころはきっちり押さえ、率直な謝罪の言葉が置かれた構成なので、それがえらく気に入ってしまった。 (見本に取っておこうかと思うくらいだ) 結局、往路のビジネスクラスとエコノミークラスの差額は計算してもちろん払い戻してくれるそう。 その上、これは別に期待はしていなかったし、余分なものを要求するつもりはなかったが、航空券代の一部に当てられる70000円くらいのバウチャーをくれるとのこと。 これについては「返金さえしてくれれば別にいいよ」と言ってもいいかなぁと少しは思ったが、まあくれるというならもらっておこうか、という感じ。 とにかく、3ヶ月も遡って苦情の原因や状況を確認してから、それぞれの立腹のマトをよく吟味して返事を書いてくれたKLMの姿勢は、同じ客商売をしている私にとってはものすごく参考になったし、結局のところ、客商売でミスが発生した時に(ミスや不具合はある種、どんなところでも生じてしまう)リカバリーの質が後の方向性を左右する、ということはこういうことなのだと実感した。 それにKLM、何度も言うが本当にコーヒーがうまい。 あの時、復路のアムステルダムからロンドンの間でおかわりを頼んだら、乗務員に「うちのコーヒー、おいしい?『KLMのコーヒーは濃すぎて苦くてキライ』って言うお客もいるんだけど」と言われた。(笑) 「ウン、今のところ私が知ってる航空会社ではいちばんおいしい。それにこれがKLMに乗る理由の一つだし」と言ったら、後で別の乗務員が来て「うちのコーヒーでKLM乗ってくれるんだって?」と笑いながら言われた。 「そうそう、コレ大事だし」と言いながら3杯目のおかわりを飲んでいると、そろそろロンドンに到着間際で飲食のサービスが終わる頃になった。 最初の乗務員がまた来てニヤニヤしながら「アムステルダムに一緒に引き返すんだったらもう少し飲めるけど、どうする?」と言ったので「うーん、そうしたいけど、下で主人が待ってるし、また今度ね」と答え、もう一人の乗務員と3人で大笑いになった。 そういうことで、いつも比較的リーズナブルな料金を打ち出し、結構質実剛健なサービスに徹しているKLM(だから最近は混んでいることが多い)は私にとってはやっぱり上から数えてベスト3にはいる航空会社だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[苦情・ケンカ] カテゴリの最新記事
|
|