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2008.04.12
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テーマ:日本文学(19)
カテゴリ:読書:日本


(集英社文庫、2003年)

 パリのカルチエ・ラタン、昔その辺り一帯は学生たちの地区だった。大学など知識人階級が活動する施設が集まっていたため、庶民の言語たる“フランス語”にも勝って、ヨーロッパ知識人の共通語たるラテン語で会話が交わされていたのである。そのため、その地区がカルチエ・ラタン(ラテン地区)と呼ばれるようになったのだ。
 この小説は、ちょうどそんな時代の物語である。
 16世紀のパリ。カトリックへの疑念が沸々と湧き出て、プロテスタントと呼ばれる新派(異端)が誕生した頃。そうした宗教問題がテーマになってはいるが、堅苦しさはまったく感じられない。
 主人公は夜警隊長ドニ・クルパン。物語はこの実在の有名な夜警隊長の回想録、という形をとっており、「第一章 私ことドニ・クルパンが....したこと」というような、西洋古典文学でお馴染みの、あらすじめいた長い章題をつけられて章分けされていて、長編小説を読み慣れていない人でもとっつきやすいのではないかと思う。
 ドニ・クルパンはまだまだ頼り無い22才の新任夜警隊長で、彼がマギステル(先生)と慕う神学生ミシェルとともに、靴屋失踪事件などをシャーロック・ホームズばりの推理で解決していく。ホームズ・ミシェルに追随するワトスン・ドニという感がある。
 前半は連作短編のような感じでさくさくと読み進んでいけるが、徐々にそれが一つの大事件-「神」をめぐる事件-に集結していく、その物語構成は実に見事。カルヴァン、イグナティウス・デ・ロヨラ、ザビエル等、お馴染みの聖職者達も登場し、あまつさえ、ノートルダムの鐘つき男の名はカジモドで、著者の懐の広さを感る。
 この小説には『ドニ・クルパンの回想録』という種本があり、やはり『ダルタニャンの回想録』から生まれたデュマの『三銃士』を思わせる。デュマに心酔していたという著者らしい、と言えるかもしれない。





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Last updated  2008.04.12 19:46:38
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