カテゴリ:アミ 小さな宇宙人
![]() https://www.facebook.com/photo?fbid=707873501388400&set=a.468494701992949 「われわれはいま、銀河系、天の川の動きを見ているんだ。これからその動きがはなつ一つひとつの小片の音を聞いてみよう」 アミは操縦かんのボタンを押した。円盤の内部はちょっと言葉では説明できないような音でいっぱいになった。高音と低音が混じり合うブンブンと唸るような音や口笛のような音、そしてはげしい雷鳴がそれにつづいた。稲妻のような閃光は竪琴(リラ)の音色を思わせた。 そして、最後には、それぞれの音が感動的なハーモニーを奏で、まるでコンサートをくりひろげているようになった。 「銀河系はこんなふうに聞こえるんだよ。じゃ、こんどはスピードアップしてみよう」 アミはゆっくりとボタンを押した。星の大集団がすごいはやさで動きだした。と同時に、どんどんひろがってゆく。 ぼくには、銀河系全体が、はっきりした意識をもったひとつの生命体のように感じられてきた。それはまるで光かがやく巨大なヒトデが、自分の奏でる音楽に合わせて、そのキラキラ光る触手を宇宙の四方にひろげておどっているかのようだった。 そうか――。こうして動きをはやくして見ていくと、コンサートもダンスもちゃんとハーモニーやメロディやリズムをもっているんだということが、はっきりとわかった……。 「なんて美しいの! 神って!」 ビンカが感動してさけんだ。 数滴のなみだが彼女の美しいひとみをぬらし、銀河系のはなつ色とりどりの光や、火花をちらしてキラキラかがやく星々の光が、そのひとみに反射して、彼女をいっそう美しく見せていた……。 「もどってきたアミ」(エンリケ・バリオス、徳間書店) 第4章 宇宙のダンス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年10月15日 07時05分04秒
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