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旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

≪凱旋門≫


≪凱旋門≫

カルバドスーーリンゴ酒を知った映画≪凱旋門≫ 6月15日(日)

高校時代に読んだレマルクの”凱旋門”。
この中に出てくるカルバドスというリンゴ酒の名前が
どうしても覚えられなくて、何度も何度もページを開いた
記憶がある.

今はスラッと出てくるのだが残念ながらアルコールがだめなので
いまだに味は知らない。

そしてこの小説で初めてレジスタンスという単語も知った
想い出がある。

高校時代に、レマルク原作の名画≪西部戦線異常なし≫を観て
感動し、そしてこの”凱旋門”を読んだ。
凱旋門はレマルクがドイツから亡命、アメリカに帰化してから
書いたものである。

映画には結構早くにめぐり合えて
観ることが出来た。

その後ビデオに撮ることも出来て、時々鑑賞する。
≪ガス燈≫で共演した二人、シャルル.ボワイエと
イングリット.バーグマンの出演作である。
演技に安心出来るのと大人の映画という雰囲気も
味わえるからである.

あの西部戦線異常なしーー映画では
戦争の悲惨さを非難するとか
反戦思想とかみじんも無く
ありのままのドキュメンタリーーとも思われる
タッチで描かれ、原作も映画も世界的作家、世界的名画となった.

この凱旋門は世界中の自由を愛する人々に強く訴えかける
叫びがみなぎっている。

芸術には思想があり熱い訴えがある。
この映画にも熱い訴えがあった.

第2次大戦が始まろうとしている不安がパリの街にみなぎり、
ヒトラーの軍隊がハーゲン.クロイツの旗をかざして
パリの街をいつ占領するか分からないそんな状況下の物語である.

ドイツ亡命者のもぐりの医者ラヴイックと時代の浮き草のような
頼りない無名の女優の出遭い。
どれをとっても見応えある映画であった。

ストーリー

第2次大戦直前のパリの街.
ラヴイック(シャルル.ボワイエ)は
ドイツを逃れた無免許のヤミ医師である.
ドイツでは名医といわれた彼だがここでは無国籍の人間だ。
しかしその腕を買われてヤミの手術を請負い
その礼金で酒をあおるという毎日である。

日の当たる場所に出れるわけでもなく、なんの生き甲斐も無い
暮らし。

ある晩、セーヌ河に身を投げ様としている女性を助ける。
ジョアン(イングリット.バーグマン)という
無名の女優であった.

彼のホテルへ連れかえり、カルバドスを飲ませて元気付けてやった。

失意のどん底にあった彼女も彼の温かい見守りでだんだんと
元気になり、二人はいつしか愛し合うようになったが、
不運にもラヴイックは不法入国が発覚し、スイスへ追放された。

数ヶ月後にパリへ戻り、カフエでカルバドスを飲んでいて、
彼はある男を見付け息を呑んだ。

ドイツ時代に彼を拷問にかけ、彼の恋人を責め殺したゲシュタポの
ハーケ(チャールス.ロートン)だ.

忘れることの無い、彼に会うことがあれば復讐すること、
これがラヴイックの生き甲斐であったのだ.

彼は必死に追跡し、ブローニュの森の奥深くで彼を撲殺した.
一方、ジョアンのほうは、彼がスイスにいる間に知り合った
青年に激しくラヴイックの事を嫉妬され、
ついにはピストルで射殺されるという出来事に見まわれた。

事件を聞いてかけつけたラヴイックの腕の中で、
ジョアンは息を引き取っていった。

暗い夜空に凱旋門の黒い影が浮かび
大戦の始まりを予測させるような
そんな空気のパリの夜であった。

そうですね.
パリ市民にとっての凱旋門は、
パリの喜び、悲しみを全部見つめてきた
象徴なんですね。


制作  米  1952年度作品
監督  リュイス.マイルストン
出演  シャルル.ボウィエ/イングリット.バーグマン
    チャールス.ロートン
原作  エリッヒ.マリア.レマルク




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