同じ仕事でも雇用形態で給与格差?
先週水曜日に「派遣会社の“誇大広告”」と題し、求人広告に記載された収入例と、実際の給料の著しい落差についてご紹介しました。今回は、工場で直接雇っている「期間工」との給料の違いについて書き記していきたいと思います。先週に続き、「ガテン系連帯」サイトのキャンペーンページをベースにいたしました。「日野自動車」では派遣会社からの社員のほかに、自社で直接雇用している「期間工(期間を定めて契約している社員)」がいて、派遣社員と同じ仕事をしています。しかし、派遣社員と大きく違うのは、正社員のボーナスや退職金に当たる“慰労金”と、1ヶ月間遅刻・欠勤なしで働いた場合に支給される“皆勤手当”があることです。そこで、その差額を試算したところ…1月(昼夜10日づつ)あたりの場合(単位・円)※基本給(時給×7.92h×20d)日給9,000円の期間工…180,000/時給1,150円の派遣社員…182,160※普通残業(15h)期間工…24,645/派遣社員…21,570※深夜手当(60h)期間工…51,120/派遣社員…17,340※皆勤手当期間工…10,000/派遣社員…なし※支給総額期間工…265,765/派遣社員…221,070さらに、期間工には慰労金のほかに、1月と8月の2回・5万円づつの“長期休業手当”も支給されるそうです。これを踏まえて、1年あたりで試算すると…※月収×12期間工…3,189,180/派遣社員…2,652,840※長期休業手当期間工…100,000/派遣社員…なし※慰労金期間工…408,000/派遣社員…なし1年間の総収入期間工…3,697,180/派遣社員…2,652,840ということで、雇用形態が違うというだけで、1年間で実に1,044,340円もの賃金格差が生じているのです。しかし、問題はこれだけではありません。期間工には、会社が用意した社員寮が無料で提供されるのに対し、派遣社員は派遣会社が借り上げた部屋(主に民間のアパート)を寮として使い、その部屋代・光熱費、さらに家具(テレビ・冷蔵庫)のリース料の支払いも生じてきます。派遣社員はその分も余計に支払わなければならないため…※寮費(¥38,000×12ヶ月)=456,000※備光熱費(¥120/日・夏冬6ヶ月間のエアコン代¥150/日)=83,000※合計=539,000これを加えると、期間工と派遣社員との賃金格差は1,583,340円と、大きく差がついてしまいます。これでは、いくら働いても生活が上向きになることはありません。派遣社員の多くがワーキングプアに陥る理由が、おぼろげながらわかります。