淡々堂

今日、祖母は一日中体調が悪かったそうです。
一日中こたつに入って座っているのはいつもどおりですが、内心はいつも通りではなかったのです。

今日、私は数十人の人の前で１時間半話をせねばなりませんでした。
声が小さく引っ込み思案で赤面症の私は、前に出て発言することが苦手でした。
親からは社会不安障害を疑われ、そのことに関する新聞や雑誌の切り抜きを渡されたことがあったほどです。
そのくせ級長になったり習い事の発表会があったり作文が入選したために読み上げねばならなくなったり等、人前へ立つ機会がありました。
幼い頃、私の世話は主に祖母がしてくれていましたが、他の子供より強い緊張を味わっている私を見ていたために、祖母は私が人前で喋ると思うだけで体調に不調を来したのです。

今でも人前で喋ることへの苦手意識は消えておらず、ぎりぎりまで入念に下調べしないと不安でしかたがないし、出番が済むまで常に頭の隅にそのことを考えていると、コーヒー豆を入れずにコーヒーを煎れたり、フィルターすらセットせずにコーヒーを煎れたり、水を入れずにコーヒーを煎れようとしたり、お湯を入れた上にさらにコーヒーを煎れたりなど、家で小さなミスをしていますが、子供の時に味わっていたほどの緊張はもうありません。
大丈夫と言い切れるほどは大丈夫ではないですが、とりあえず祖母の前では一応、

「大丈夫ですよ」

と言うことにしています。