|
カテゴリ:カテゴリ未分類
あるお客様を訪問して、毎月の監査をしていたときのこと。
隣の机で支払手形を切っておられた経理部長が、手を止めため息をついておられる。どうしました?と聞くと「この会社は、毎月手形を7・8枚ほどに分けて切ってくれと言ってくるんだけど、今月はさらに増えて10枚にもなったから、切るのも大変だ!」と嘆いておられる。 おまけにその10枚にわたる手形も、10万円単位とか100万円単位ではなく、1円まで金額を指定して、こういう金額に分けてと、毎月その一覧表を送ってくると言う。なかなか手の込んだことをしてくれる。 なるほど、その一覧表を見るとすぐ気づくのだが、1円まで金額を指定するのは、そのまま裏書して、自分の会社の支払いに回すため、支払の金額に合った手形が欲しいようである。支払額に近くそれより小さい金額の手形を探して回し、差額は別途支払うか翌月回しにする処理をする会社は他にもあるが、逆にすべて金額まで指定してピッタリの手形をもらおうとする会社は初めてである。 「まあ、他へ手形を回される会社は、優秀で安心な会社だからと、納得するしかないですかね?」と冗談を言いながらも、手形を切る方は手間もかかるし、コストもかかる。いやなら別に断ればいいのだろうが、とりあえずお付き合いしているらしい。 「こちらの印紙代が増えるのでは?」との質問には、「印紙は、必要な枚数分あちらから送ってくる」とのこと。もちろん相手も、面倒なことに何とか協力してもらうための策は、さすがに心得ている。 送ってくる印紙代や表作成等、最終的に相手の会社も、コストや手間はそれほど変わらないのかもしれない。しかし、「少しコストが増えたとしても、手形は絶対に切らないぞ!」と言う姿勢を貫くことを最重視しているのだろう。 工夫の仕方は、いろいろあるものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|