新型インフルエンザの休業の扱い新型インフルエンザについて新型インフルエンザA(H1N1)は、今年の4月28日に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下「感染症予防法」)第6条7項に定める新型インフルエンザ等感染症と位置づけられました。 これにより、新型インフルエンザに罹患した場合は行政の指導に従う必要があり、会社としては、対象社員の出社を認めることはできません。本人がでてきたいと言っても休ませる必要があります。 では、この場合の休業時の給与に関する取り扱いですが、労働基準法第26条において規定されている休業手当(平均賃金の6割以上)の支払が必要かどうかですが、これはあくまで「使用者の責に帰すべき事由による休業」の際に適用となります。 しかし、新型インフルエンザの罹患により休まざるを得なくなった場合は、感染症予防法に基づく休業です。あくまでも、法令を遵守するためにやむを得えず休ませるものであるため、会社に責任はありません。よって、このような場合の給与においては、会社に休業手当の支払義務はないということになります。 また年次有給休暇の取得を社員さんが言ってきた場合の対応ですが、会社を休むことになる日についてはそもそも労働の義務がない日となることから、原則としては年次有給休暇の取得もできないこととなります。 しかし、無駄な労使間のトラブルを回避するための現実的な対応策としては、今回の新型インフルエンザの罹患による欠勤についても、通常の傷病と同様に年次有給休暇の取得を認めるという柔軟な対応をする事業所は多いと思われます。 次に難しい判断となるのですが、社員さん本人ではなく、その家族が新型インフルエンザに罹患し、社員を休ませるような場合の取り扱いです。 このケースでは、会社と行政(保健所など)のいずれの判断、要請により社員を休ませることになるのかによって取扱いが異なってきます。 濃厚接触者として感染の疑いの可能性が高い方については、保健所へ健康状態に関する報告をすることが定められており、保健所等で検査を受けることになっています。 そして、感染予防法第44条の3に感染を防止するための協力についての定めがあり、感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者と判断された場合は、外出自粛の要請を受けることになります。 よって、この要請を受けて休業させるような場合については、使用者の責に帰すべき事由ではないため、休業手当の支払は必要ないということになります。 一方、上記の事由には該当せず、感染の疑いがあるとの会社側の判断に基づいて休ませるような場合は、最低でも休業手当の支払は必要となります。 今後、10月中旬をピークに新型インフルエンザの拡大が予想されており、会社としては、早めに感染予防策の周知徹底を図り、また、感染した場合に報告が速やかに行われるように社内書式などを整備しておく必要があります。 ジャンル別一覧
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