僕の冷淡

　　　　　僕の冷淡

新宿の炉ばた焼の夕焼は
僕のメニューにも彼女のそれにもなく
少し淋しい気分になった僕は
４日前から止めた煙草のことをふと思い
彼女には冷たくしようと思った

僕の態度の変化に気づいた彼女は
自身にその理由を求めて
目を寄せていたが
何というか
その時の僕は
もっと対象のないものに
冷淡だったのだし
その故で淋しかったのだ

単純な言葉が好きだったし
気の利いた言い回しよりも
赤いものを赤いと言う
直接性が恋しかった