カテゴリ:★★☆な本
私は土の中で生まれた。親はいない。暴力だけがあった。ラジオでは戦争の情報が流れていた――。重厚で、新鮮な本格的文学と激賞された27歳、驚異の新人の芥川賞受賞作。
うぅ~~~ん。この本、とにかく暗いです(-"-;) 以前感想に書いた「グランド・フィナーレ」(阿部和重著)も芥川賞受賞作ですが、どちらもアンダーグラウンドに目を向けた作品という共通点があるからでしょうか、なんとなく似た印象を持ちました。 親から捨てられた子供達が住む施設で育った主人公。 養子として引き取られた先では、殴る、蹴るの暴行を受け続け・・・「恐怖に感情が乱され続けたことで、恐怖が癖のように、血肉のようになって、身体に染みついている」状態に。 とにかくひたすらに、主人公の恐怖、痛みが描写されています。 あまりにも丹念すぎてちょっとくどいかな、と思えるほど、でも読者に訴えかけてくる、ある種「緻密」な表現力は強く感じました。 生きながらにして朽ちているような主人公。 読んでいるうちに、どんどん暗く、深いところへ落ちていくように感じて、すごく不安になります。 でも「僕は土の中で生まれたんですよ。だから親はいません。」 過去に決別したかのような主人公を見て、最後に少しだけ、明るい未来が見えたかな? 「グランド・フィナーレ」と違って、読後にようやく一息つけた、と思いました。 併録してある短編「蜘蛛の声」は、なんだかわけがわからなかったです。(読後は良くなかったです) このわけのわからなさも、「グランド・フィナーレ」に併録されていた短編と似た印象を持ちました。(-"-;) 「土の中の子供」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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