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この夏読んだ本を紹介します
【火のみち】~乃南アサ著 乃南アサは、好きな作家の一人です。 かつて読んだ事がある作風とは一風変わった趣のある内容となっています。 父が戦死し、戦後満州から引き揚げてきたどん底の生活の中で母まで亡くした南部次郎は わずかな葬式費用の形に幼い妹を連れ去ろうとする男を撲殺してしまう。 きょうだいは離散し、服役中も渦巻く憤怒を抑える術すら知らない次郎は備前焼と出会い ひたすら土を練る事でようやく心が鎮まっていく・・・ ー上巻よりー 妹は女優として成長し、刑期を終えた次郎も独立して窯を開く。 暗い過去ゆえに兄妹を名乗れないながらも家族の絆が深まる中、次郎は中国宋代の 青磁・汝窯に魅入られる。 「雨上がりの空の色」と称される幻の器を自らの手で蘇らせたいという激情はどこへ 向かうのか! 戦後昭和という時代を描ききった意欲的長編。 -下巻よりー この作品のテーマに焼き物が取り入れられています。 “人”と“物”との間の葛藤に深く踏み込んだ作品であるという印象を強く感じました。 物に魅せられる事と、物に憑かれる事には、大きな差があります。 主人公は汝窯に憑かれ、最後には地獄絵を見るような凄まじい様が描かれています。 又、中国の焼物の歴史の記述にも目を瞠るものがあり、正に乃南アサの力作と言えると思います。 深く掘り下げればネタバレになる事間違いないと思われますので、この辺に留めておきます。 【終末のフール】~伊坂幸太郎著 度々新聞でこの作品を紹介していたので、興味津々で購入しました。 八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。 そう予言されてから五年が過ぎた頃。 当初は絶望からパニックに陥った世界も、今や平穏な小康状態にある。 ある団地の住民達も同様だった。 彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。 家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。 はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは? 今日を生きる事の意味を知る物語。。。 ミステリー大好きの私にとって、この作品はいささか物足りなさが残りました。 八つの作品から成っています。 今の私にとって、地球が滅亡するという設定が、あまりにも奇想天外であり、物語自体が淡々と進み次には何が起こるんだろう・・・というワクワク感がない! 伏線もなく、面白みに欠けるというのが、私の感想です。 後三年と言われた時の人々の葛藤や思いやりが随所で見られる。 でも、私は途中で読むのを止めてしまいました。 (思い描いていた程のめり込んでいかなかった。。。) 明日、もう2冊紹介します お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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