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夏希ヒョウの世界へようこそ

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2009年07月23日
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カテゴリ:ホラー・シナリオ
~第6鬼・心の鏡~

容姿端麗な女がいた。
外を歩いただけで男を惑わす魔性の女。
俺なんて口も訊いてくんない。
仕事をするわけでもないが、色んな大企業の社長と知り合いで、食事に付き合うだけで百万ぐらいの金をくれるんだとか。
宝石やブランドが大好きで、一度袖を通した洋服はどんな高価なものでも二度と着ないそうだ。
政財界・芸能界では、その女と食事することが一つのステイタスとなっていた。
イベントや映画の試写会があると、セレブとして招待される。
その美しさを豪華な装飾品や、ドレスがさらに引き立たせた。
どんな女優よりも誇らしげに、堂々として見えた。
当然のことながら他の女達からは嫉妬の目で見られたが、そんなことは気にしないしする必要も無かった。
さらにその女はたち居振る舞いも華麗で、それがさらに優雅な雰囲気を演出していた。
気配りも上手で、男達はその気遣いにも心が癒された。
名前は美香という。

イタリア製の宝石やインテリアを買い漁っていた時に、ある鏡が女の目に留まった。
額には宝石が鏤(ちりば)められていて、鏡に映るその顔をさらに美しく幻想的に見せていた。
部屋に戻っても、女は飽きずにその鏡を見て、念じ続けた。
自分に見惚れながら、
「私は綺麗、誰よりも綺麗。もっと綺麗になれよ私、もっと綺麗になぁれ」
すると鏡に映った顔が勝手に動き出した。
唇は腫れ、肌は荒れ、頬は膨れ、目は飛び出して、悪魔のような醜い顔に変貌していった。
念じ続けた鏡には、心が乗り移っていたのだ。
この鏡のタイトルはイタリア語で書いてあった。
日本語で「心の鏡」という意味であった。
気が狂った女は、シャンデリアの紐で首を吊った。
死んだ女の顔は元に戻っていた。                 完。





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最終更新日  2009年07月23日 21時37分58秒
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